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2019.02.28 07:00

ヴェルディ黄金期よ、再び。アカツキ、経営参画までのドラマ

(左)アカツキ代表取締役CEO 塩田元規(右)執行役員 経営企画部部長兼事業開発部部長 梅本大介


打診からわずか1年。経営、運営、そして事業への参画が決定
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2018年1月、東京都品川区アカツキ本社。

スポンサーになるという話が社内に周知されたタイミングで梅本にある社員が声をかけてきた。いや、熱弁してきたという方が正確かもしれない。

「いつかヴェルディの運営に関わるのが夢だったんです。自分に手伝えることあったら言ってください!」入社3年目の菊地優斗だ。
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「ファンだから関わりたい」というのは、ちょっと違うなと。我々もビジネスのプロとしてヴェルディさんを支援するわけで、ミーハーな気持ちではヴェルディに失礼。『ありがたいけど遠慮しておくよ』とその場では菊地の申し出を断ったんです。

すると後日、菊地がまたやってきて、“ヴェルディで実現したい企画書”を渡してきたんです。すでに直属の上司と担当役員にも相談済みで、『ヴェルディに行きたい、プロジェクトに参加したい』と変わらず熱く頼みこんできました(笑)。菊地はアカツキの中でも優秀な社員、抜けられては現場が混乱する可能性もある。ただ彼の情熱は本物でした。結果、7カ月後の9月から第一号社員としてヴェルディに出向してもらっています」(梅本)

こうしてヴェルディへの人材派遣が進む中、アカツキ社内では引き続き、経営参画後のプランが協議されていた。粘り強く、何度もヴェルディに提案していくなかで、「資本提携の路線で話を進めましょう」という吉報が届いた。

ついに株式取得に関する具体的な検討プロセスに移行したのだ。そこから話は加速度的に進んでいく。契約合意に至るまでヴェルディ・アカツキ間で幾度となく協議が繰り返された。ヴェルディ側でこの交渉を担当した副社長の森本氏と梅本氏の議論は深夜に及ぶことも。

そして2018年12月、契約合意に至り、アカツキは東京ヴェルディのコーポレートパートナーとして経営、運営、事業に参画することが正式に決定した。


(C)TOKYO VERDY

選手育成ではなく、“人間”育成。あらゆるプロを生む

以上が新興のベンチャー企業がJリーグ屈指の名門の経営に参画した経緯だ。では、アカツキはヴェルディをどう支えていくのか、クラブをどう強化していくのか。ここからはCEOの塩田氏と梅本氏へのインタビュー形式でお送りする。

──スポンサーシップからの経営参画までのスピード感、まさにベンチャーですね。今、振り返って、どのような提案がヴェルディ経営陣の心を動かしたと思われますか?

梅本:ヴェルディを東京から世界に名だたるようなチームにして人をわくわくさせること、それはアカツキが掲げているビジョン(ハートドリブンな世界へ)と同じことです。それをサステナブルに続けられる方法をプランし、提案しました。

チームの強化には資金が必要です。いかにクラブとして収益を上げ、チームを強くするかという話はもちろん、ヴェルディが世の中にどう影響を与えていくのかという点でもかなり協議しました。

特に大切にしたのが、育成の話ですね。ここでいう育成とは、「日本代表を送りだす」ということだけではありません。残念ながら、ユースの選手全員がプロになれるわけではない。毎日、サッカーに情熱を捧げていたのに突然、未来が閉ざされるのは酷です。じゃあ、どうすればいいのか。

サッカーではなくビジネスの世界で活躍する「プロ」となれるような育成を支援しましょう、そんな話もさせていただきましたね。

スポーツとeスポーツの境界を溶かす起爆剤、「エンブレム」

──今回のJリーグ参入によって御社は、リアルなスポーツとeスポーツ、双方のフィールドを手にしました(2018年8月、PROFESSIONAL ESPORTS LEAGUE, S.Lを子会社化)。「eスポーツはスポーツではない」という声もまだまだあります。2つのフィールドを持つ御社はどう、それぞれの境目をなくしていくのでしょうか?

塩田:要は、一般の人たちが見て、「面白い」と思ってもらえるかどうかが重要です。例をあげると日本代表。Jリーグのチームの試合はいわゆるファン、サポーターが応援しますが、それ以外の人にとっては大きな関心ごとではない。ただ、日本代表の試合となった時、どうですか?普段はサッカーを見ない人も応援する。それは国というものに対して、ロイヤリティがすごい強いから。
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文=後藤亮輔 写真=寺内暁

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