ドミノ・ピザやマクドナルド、ヤム・ブランズ(ケンタッキー・フライド・チキン、ピザハット所有)、ウェンディーズなどの株主は、サプライチェーンで使用する水資源や温室効果ガス排出量を削減するため、企業が厳しい目標を設定することを望んでいる。
ファストフード市場は5700億ドル(約63兆円)で、その店舗数は世界で12万軒に及ぶ。
BMOグローバル・アセット・マネジメント、アビバ・インベスターズ、イーゴン・アセット・マネジメントなどの80以上の投資家は、「畜産業界は、温室効果ガス排出量が世界でも特に高く、かつ低炭素を実現する計画を持たない」と警鐘を鳴らし、ファストフード企業に対し、肉・乳製品サプライチェーンのリスク緩和の計画について2019年3月までに説明するよう求めた。
この取り組みは、持続可能性を支持する非営利団体シリス(Ceres)と、FAIRR(家畜投資家のリスクと利益)イニシアチブが進めている。FAIRRは集中的な畜産・養殖システムに関連したESG(環境・社会・ガバナンス)に焦点を当て、投資家がこうした情報を資産管理や投資の意思決定に取り入れられるようにするツールを提供している。
FAIRRの創設者でコラーキャピタルの最高投資責任者(CIO)であるジェレミー・コラーは「米国だけでも毎日、約8400万人の成人がファストフードを消費するが、この業界の肉・乳製品が環境に与える影響は持続不可能な水準に達した。これは便利なファストフードの不都合な真実だ」と述べた。
「自動車や石油・ガスなど温室効果ガス排出量が多い他業界は、気候変動に対処するための明確で高い目標の設定を始めている。そのため畜産業は、温室効果ガス排出量が世界でも特に高く、かつ低炭素を実現する計画を持たない業界となっている。企業のサプライチェーンに存在するこうした大きな環境問題に対処できなければ、有名ブランドの長期的な財務的持続可能性が危機にさらされる。投資家は、こうしたリスクを管理するためのより戦略的で革新的な考え方を求めている」(コラー)
FAIRRは投資家向けとして、ファスフード業界に肉や乳製品を供給する生産業者が環境に与える影響を説明する資料を発行。肉・乳製品生産を含む農業関連の温室効果ガスは、2050年までに許容排出レベル全体の約70%になると見込まれ、そうなれば世界の気温上昇を2度未満に抑えるために排出できる温室効果ガス量を11ギガトン上回ることとなる。また世界の水資源の約10分の1は毎年、家畜のために使用されている。