肩こりは、本来人間の体が持っている機能に反する動きを続けることで、肩周りの筋肉がこわばり血流が悪くなることで起こる。例えば、スマホを見るとき、猫背で首を前に出し、液晶をのぞき込むように操作する。この姿勢で首、肩、腕、背中の筋肉はカチコチ。肩にいつも何かが乗っているようなズシンとした重さや痛みを感じる。
ただの肩こりと放っておくと、頭痛や首こり、慢性的な疲労につながることも。肩や首のこりからくる頭痛によって仕事のパフォーマンスが下がる可能性も高い。
そんな疲れたビジネスパーソンのために、主要駅の近くにはクイックマッサージが急増。肩もみや首のマッサージで一時的に肩の軽さを取り戻している人も多いだろう。しかし、その瞬間は、肩こりが軽くなっても、数日経てばもとのカチコチの重い肩に逆戻りだ。
パソコンによる「手首アーチ」の崩れが肩こりを招く
その理由を「肩こりの真の原因は、肩のそのものではなく手首に原因があるからです」と語るのは、『肩こりはもまずに治せる!』の著者であり、理学療法士の清水賢二さん。肩から離れている手首が肩こりの原因だと気づいたのは、あるビジネスマンの肩こり治療を行っていたときだという。
「一日中パソコンで仕事をするビジネスパーソンで、頭痛をともなうひどい肩こりに悩まされている患者さんがいました。はじめは通常通り、肩を中心に首や腕の筋肉をほぐす施術をしたところ、一時的に改善はしても数日後には元に戻ってしまうのです。その方の手首を触ってみたところ、驚くほどガチガチの状態。本来手首は内向きのアーチ状にカーブしているのですが、そのアーチが平らになっていました。そこで、アーチができるように手首を整える施術をしてみると、肩こりが劇的に解消したのです」(清水さん)
その後、肩こりに悩むさまざまな人の手首を診てみると、ほとんどが手首のアーチが崩れていることに気づいたそう。そして、手首アーチができるように施術をするだけで、肩こりが一時的でなく根本からラクになったという。
手首の筋膜が肩の血流を悪くしていた
なぜ手首アーチを取り戻すと肩こりが改善するのだろうか? そのカギとなるのが、全身をボディスーツのように包んでいる筋膜。
「手首の筋膜は肩から首を通って顔までつながっているために、手首のアーチがつぶれてその部分の筋膜がヨレると肩の血流やリンパや神経の流れが悪くなり、肩に老廃物がたまり、それが肩こりを引き起こします。