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グーグルの親会社アルファベットの傘下にあるヘルスケア企業「ヴェリリー(Verily)」は、手術ロボットから糖尿病治療までさまざまなプログラムを進めているが、このほど、オピオイド依存症の治療にも取り組んでいくことを明らかにした。

ヴェリリーが設立したのは、オハイオ州デイトンに拠点を置く非営利団体「OneFifteen」だ。依存症患者を対象に、入院でのケアや外来治療、回復期にある患者への住宅提供のほか、職業訓練などの包括的サービスを提供する。患者は、保険が適用されるか否かにかかわらず、同サービスを利用することが可能だ。

OneFifteenは、不動産投資信託会社「アレクサンドリア・リアル・エステート・エクイティーズ(Alexandria Real Estate Equities)」と提携して専用キャンパスを設計・開発しており、完成は2020年の見込み。プレスリリースによると、患者受け入れは2019年春から開始するが、いずれすべてのサービスがキャンパスに統合される予定だという。

OneFifteenの設立にあたっては、地元の医療機関「プレミア・ヘルス(Premier Health)」や「ケタリング・ヘルス・ネットワーク(Kettering Health Network)」なども協力している。

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)のデータによれば、アメリカでは1日に平均130人がオピオイドの過剰摂取で死亡している。オハイオ州は特にその数が多い。

OneFifteenのプレジデントと最高経営責任者(CEO)を兼任するマルティ・テイラーは、20年以上にわたって病院管理に携わってきた人物だ。最近ではオハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのユニバーシティ病院とロス・ハート病院の最高責任者を務めていた。

テイラーはそのキャリアを通じて、依存症患者の治療が十分提供されていないことに幾度となく不満を抱いてきたと話す。たとえば、設備が足りなかったり、適切な治療法や効果的なケアについての情報が十分でなかったりということだ。

テイラーはフォーブスに対し、「個人に対してガイドするようなケアは、往々にして難しい」と述べた。OneFifteenは、そうした点の改善を目指している。

その一環として、アメリカ依存医学会(ASAM)が定める依存症治療の基準を適用し、薬の力を借りた治療などを行うとともに、個人への影響に関するデータや、犯罪率や受刑率といった地域の統計値を検討する予定だとテイラーは話す。

問題行動を専門とするヴェリリーのシニア臨床科学者ダニエル・シュロッサーによれば、ワン・フィフティーンはOneFifteenは依存症の治療における「情報の不十分さ」にも取り組んでいく予定だ。たとえば、治療を1年以上継続している人は回復する可能性が高いが、進んで治療を受けようとする人は10人に1人しかおらず、そのうち少なくとも50%が脱落することが、現在のデータからわかっているとシュロッサーは話す。
しかし、こうしたデータには、患者が治療を長期にわたって続けられるようにする方法が欠けている。ワン・フィフティーンは、どのような介入方法がより良い効果を生み、「これらの統計値に影響を及ぼす」のかを知りたいと考えているという。

オピオイド依存症の効果的な治療法に関する研究は、治療計画を立てる医師や臨床医だけに役立つわけではない。「特定の治療モデルをほかより高く評価する情報があったとしても、政策担当者や保険会社はその情報を信頼できない」とシュロッサーは述べる。ベストな治療を提供する方法に関するデータが不足しているうえに、根拠にもとづいた治療法が実践されていないという問題があるのだ。OneFifteenはこの2点の改善に取り組んでいこうとしている。

OneFifteenは2月6日に正式に始動した。それに先駆けて、「Dayton Business Journal」は2018年10月、ヴェリリーが(当時は名前が明らかにされていなかった)複数の組織と提携して、オピオイド依存症に取り組む計画であることを報じていた。

OneFifteenが活動を行う場所はデイトンだが、自分たちが得た情報をほかの組織も取り入れてほしい、とテイラーは話す。プログラム拡大の可能性については、「いずれ、私たちのモデルでスケーラブルな何かが見つかれば、もちろん検討していくつもりだ」と述べた。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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