テクノロジー

2019.02.05 18:00

地球全体を覆う「衛星インターネット」 2020年代に本格始動へ

ブルー・オリジンが新たに開発したニュー・グレンロケット(photo courtesy of BLUE ORIGIN)

ブルー・オリジンが新たに開発したニュー・グレンロケット(photo courtesy of BLUE ORIGIN)

アマゾンのジェフ・ベゾスが設立したロケット企業「ブルー・オリジン(Blue Origin)」が1月31日、カナダの通信企業「テレサット(Telesat)」の小型衛星の打ち上げを行うことをアナウンスした。テレサットはイーロン・マスクのスペースXやリチャード・ブランソンのOneWebらと並んで、衛星インターネットの実現を目指している。

ブルー・オリジンは新たに開発したニュー・グレン(New Glenn)ロケットを用いて、テレサットの衛星を2021年に打ち上げる計画だ。ブルー・オリジンは直近ではニュー・シェパードロケットを用いた宇宙旅行の実現を目指しており、2019年内に最初の有人飛行を予定している。

テレサットはカナダ最大の静止衛星サービスプロバイダーで、小型衛星を活用した衛星インターネットサービスを世界に提供しようとしている。同社は現在もインターネットに接続できない40億人の人々に、ネット接続を提供しようとしている。

ブルー・オリジンCEOのBob Smithは声明で「テレサットが低軌道(LEO)衛星の打ち上げ企業として、当社を選んでくれたことを光栄に思う」と述べた。

衛星を打ち上げる軌道には低軌道と、より高度の高い中軌道(MEO)や静止軌道(GEO)があるが、低軌道への衛星の投入はコストを抑えた小型ロケットで実現可能なメリットがある。しかし、個々の衛星によるカバー範囲は高軌道の衛星より狭いため、衛星インターネットの実現には複数の衛星を組み合わせた、衛星コンステレーション(Satellite constellation)が必要になる。

テレサットは最終的に300基近い衛星を低軌道に送り込み、世界中をカバーする衛星インターネットを実現しようとしている。

テレサットCEOのDan Goldbergは「ブルー・オリジンのニュー・グレンロケットは革新的なツールであり、テレサットが世界規模の低コストの衛星インターネットを実現する上で、大きな助けとなる」と述べた。

この分野ではイーロン・マスクのスペースXが、スターリンクと呼ばれるサービスを計画しており、マスクは合計で1万2000基という恐るべき数の衛星を軌道に送り込もうとしている。

さらに、リチャード・ブランソンのOneWebも、ブルー・オリジンのニュー・グレンロケットを用いて約600基の衛星を打ち上げる計画だ。OneWebは累計17億ドルの資金を調達し、今年2月に最初の打ち上げを計画していたが、スケジュールは延期となった。

テレサットは第一世代の衛星インターネットサービスを、2020年代の初めに開始する計画だ。一方で、スペースXは初期の衛星群を年内に打ち上げ、2020年代の中盤に最初の衛星コンステレーションを稼働させようとしている。

編集=上田裕資

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