ビジネス

2019.01.19

アメリカの有名声優に日本アニメの人気や声優事情を聞いた

声優のジョニー・ヨング・ボッシュ氏


──ほかの国に比べると日本のアニメやマンガは人気なんですね。どういった作品がとくに人気なのでしょうか? 

流行りではなく、長いあいだ人気が高い作品を挙げると、『ドラゴンボール』、『NARUTO - ナルト - 』、『ポケットモンスター』、『ガンダム』、『幽☆遊☆白書』、『AKIRA』、『BLEACH』、『ONE PIECE』、あたりでしょうか。

──日本では、声優は憧れの職業になってきたり、声優以外の活動も注目されていてアイドルのような人気があります。Yamaconでのジョニーさんのサイン会は、200人を超える行列ができていました。アメリカでも声優は人気なのでしょうか?

Yamaconのようなアニメコンベンションでは、日本みたいな人気になることもありますが、普段の生活でちやほやされるようなことはありません。日本はアニメやゲームのキャラクターを誰が演じているかをリサーチしたり、どの声優が出演するかで見るアニメを決めたりする文化がありますよね。でも、アメリカでは、キャラクターはキャラクターという考え方のため、誰が声を演じているかについては大半の人は興味がないんです。

──何か理由があるのでしょうか?

アメリカのアニメが、基本的に子ども向けのカートゥーンだからだと思います。日本のアニメは大人向けのものも多いですよね。この違いが大きいと思います。日本の大人向けアニメが好きな人たちは、日本人のように声優にも興味を持っている人が多いです。

最近では声優に興味を持ってくれる人も増えてきて、アニメコンベンションの時に限った話ではありますが、『スター・ウォーズ』に出演している有名な俳優より声優のほうがサイン会の列が長くなることもあります。

──なるほど。声優の人気は徐々にあがってきているんですね。

日本に比べればまだまだですけどね。とはいえ、アニメ系のコンベンションは週に1回はアメリカのどこかで開催されているくらい人気がありますし、私自身も、日本の人気作品のキャラクターを演じさせてもらっていることを光栄に思っています。
 
 日本のアニメ・マンガファンは増え続けている
 
──声優にはどうやってなるのでしょうか? 日本には専門学校がありますが、アメリカにも専門学校があるのでしょうか?

俳優志望者が成り行きで声優になるケースが多いと思います。私も俳優の仕事でスタジオに入っていたら、たまたま「声優が足りないからちょっと来て」と呼ばれたことが声優になったキッカケです。ここ最近は、俳優になるための学校に声優コースが用意されているところもありますが、声優に特化した学校はまだないと思います。

──声優はどうやって仕事がくるのか教えてください。

アメリカの声優や俳優の仕事は、「ユニオン(労働組合)の仕事」と「ノン・ユニオン(ユニオンではない仕事)」という2つの形態があります。ユニオンからくる仕事のほうがお金がよく、メジャーな作品に出演するチャンスがあります。

また、一部の例外を除いてどちらかの仕事しか受けることはできません。新人の声優や俳優は、ユニオンに入っていない状態で、且つ、支払いのあまりよくない仕事からスタートします。ノン・ユニオンの仕事は、お金はよくないのですが仕事の数は多いです。

──皆さん、最終的にユニオンに入るのでしょうか?

そうですね。有名になってくると「ユニオンに入りなさい」と声がかかります。

──加入費や年間費みたいなものは?

年間3000ドル~5000ドルくらい払います。ユニオンが持っている仕事の数が少ないので入ったら入ったで大変です。しかも、ユニオンは州ごとにあり、どこに住んでいるかで振られる仕事も変わります。

それに、人気の作品に出演するためにはオーディションに勝ち残らないといけません。ですので、ユニオンに入ったからといって安泰なわけではないです。あまりにも仕事がない人は、「ユニオン以外の仕事もしたい」と申し出て、ノン・ユニオンの仕事をすることもあります。
次ページ > ギャラがいいのは日本?アメリカ?

文=砂流恵介

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事