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ドナルド・トランプ(Photo by Win McNamee/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領は好んで、自らが課した関税のおかげで米国には、中国やその他の国から多額の関税収入がもたらされていると発言する。

だが、関税を払っているのは米国向けに製品を輸出している国ではない。それらの製品を輸入している企業だ。つまり、米国企業は価格を引き上げる必要に迫られているということだ(米国の消費者が課税されるのと同じことだ)。

同時に、外国製品を輸入する米国企業は、利益を減らすことになっている(従って、納税額も減らすことになる)。倒産する企業が出てくる可能性もある。

関税収入は倍増

米財務省は関税収入に関する月次報告書を発表している(昨年12月分については、政府機関の閉鎖により公表が遅れており、以下に示すのは推計値)。それを見ると、関税収入が昨年に入って急増したという点については、トランプの主張が正しいことが分かる。

・2018年度上半期(17年10~18年3月):31億ドル(約3365億円)/月
・2018年度下半期(18年4~9月):38億ドル/月
・2019年度第1四半期(18年10~12月):60億ドル/月(18年度上半期から95%増)

1カ月当たりの関税収入が29億ドル増えたとして、これを1年当たりに換算すれば、350億ドル近い増加ということになる。この増加分は、価格に転嫁されて消費者が負担することになるか、企業の利益を食いつぶすかのどちらかだ。

すでに、サウスカロライナ州ではテレビ工場が126人、ミズーリ州ではくぎ工場が(500人のうちの)200人を解雇すると発表。いずれも関税引き上げの影響だと訴えている。

トランプは「分かっていない」?

トランプにとって、赤字を抱えていることは「負けている」こと、カモにされていることを意味する。だが、この考え方は誤りだ。米国人は、中国製でなければ実現不可能な低価格で商品を手に入れられるという恩恵を受けてきた。

「アップルは米国内でiPhoneを生産すべきだ」とするトランプは、国内にはiPhoneの生産に必要な単純作業を請け負う何十万人もの労働者がいないことを理解していない。あるいは、あえてそのことを無視している。

さらに、米国には必要な労働力が不足しているというだけではない。iPhoneをはじめ米国向けに中国で生産される製品はほぼ全てについて、それらを中国で製造して米国で販売するというサプライチェーンが確立されている。それを米国内で新たに築き直そうとすれば、製品の価格は現在よりもさらに高くなるのだ。

トランプが主張するとおり、中国企業は米国企業に技術移転を強要することで、自国市場へのアクセスを向上させ、そして米国企業の知的財産を盗み取ってきた。そして、これは米国の製造業、さらには雇用に多大な影響を与えてきた。

だが、大きな問題となるのは、米国の消費者がより値段の高い国産品を受け入れるつもりがあるのかどうかということだ。場合によっては、あると答えるだろう。だが、全体として見れば、消費者はより安価な商品を購入するという「一票を投じる」ことで、その意思を表明してきた。

編集=木内涼子

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