メルカリのダイバーシティ施策は、社員の「部活」から始まった
杉山:メルカリで働いているトランスジェンダー当事者の方から、「メルカリはカミングアウトをしなくても良いくらいに働きやすい環境だ」と言われたことがあります。色々な違いに対して寛容なことが、メルカリの社風になっていますよね。
LGBTを含めたダイバーシティ&インクルージョンを充実させたきっかけはなんだったのでしょうか。
小泉:理由はとてもシンプルで、社内に当事者がいるとわかったからです。もちろんこれから社員数も増えるし、海外採用にも力を入れていたので、早めに取り組もうと思っていました。
杉山:いまは約30カ国からのグローバルメンバーが社内にいて、最近では外国籍の新卒生を40人ほど採用したそうですね。多様なバックグラウンドをもつ人が働きやすい環境は、どう整備しているのですか?
小泉:当たり前ですが、受け入れるための準備をしっかりすることですね。LGBTだけでなく宗教などについても、まずは正しい知識を身につけます。
例えば、杉山さんから教えてもらった、人口の12,3人に1人はLGBT当事者だという統計データを知らない人も結構多いですよね。例えば宗教の違いもあるので、年末の打ち上げを「クリスマスパーティ」と呼ばないようにするとかね。
社員それぞれに興味をもってもらえるように知識を共有するのが、相互理解の第一歩です。
杉山:そういうアイデア出しや知識の共有は、どうやって起こるんですか?
小泉:実は、僕ら経営陣が全てのプロジェクトを手がけているわけではなく、ダイバーシティに興味をもった社内メンバーが、自然に声を上げてくれました。
最初は有志のボランティアだけで行っていた会議が段々大きくなって、プロジェクトに発展したんです。経営陣はそれを上手くいくよう見届けるスタンスでした。
メルカリでは、メンバーが5人集まったら「部活」として、会社から1万円の補助を出しています。LGBTやダイバーシティに限らず、社員の興味関心はコミュニケーションの良い機会ですから。
部活の内容はなんでもOK。ボードゲーム部や、グミを食べる「グミ部」までありますよ。
杉山:そういえば、以前メルカリの方にLGBT支援をどこから始めるべきか聞かれたことがありましたが、たしかにその部活の方だったような……。
小泉:ダイバーシティ部も、始めはコーヒーを飲みながらダイバーシティについて話す部活でしたが、杉山さんにレインボーパレードに誘ってもらってからは、メルカリとしてできることを考えるようになったんです。
手探りだらけの活動でしたが、いまではパートナーのいる社員に婚姻関係と同じ補助をするなど、制度もかなり充実してきました。
部活はとにかくたくさんあって、僕はもう全部は把握していません。ダイバーシティ部は最近もダイバーシティ・デーをつくる動きがあるなど、僕の知らないところで新しいプロジェクトが動いているようですね。
杉山:いいですね。ぜひ来年の東京レインボープライドのパレードでもご一緒しましょう。
明日は対談の後編を公開。主体的な人ばかりが集まる採用活動や、今後の展望を聞いた。
連載:LGBTからダイバーシティを考える
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