経済・社会

2019.01.08 06:30

トランプが欧州を「標的」にする狙いと推測される事態


自動車産業はドイツ経済を、ドイツは欧州経済をけん引している。トランプがこれまで脅してきたとおり欧州から輸入する自動車の関税を引き上げるなら、それは同地域に深刻な打撃を与える可能性がある。

最悪の事態に?

欧州は近いうちに、金融引き締めの方向に動き始めるかもしれない。同時にこの地域は、英国の欧州連合(EU)からの離脱が「ハードブレグジット(合意なき離脱)」になる可能性やイタリアの財政悪化への懸念、フランスだけでなく至る所で起きている市民の暴動、貿易戦争、ドイツとイタリアの銀行が直面する危機といった問題を抱えている。

そして、これらは遠い将来に起こり得る問題ではない。全て3~4カ月のうちに起きる可能性があるものだ。これらの幾つかが同時に起こり、破滅的な状況に発展すれば、その痛みを受けるのは欧州にとどまらないだろう。

欧州と取引がある米国、カナダ、ラテンアメリカ、そしてアジアの企業は売上高を減らし、レイオフを行うことにもなるかもしれない。ユーロ圏の債券を持つ人たちは、損失を被ることになるだろう。

レバレッジ比率の高いデリバティブ(金融派生商品)の価格は暴落し、救済や為替介入が必要になるかもしれない。それが何につながるのか、私たちには分からない。だが、良い結果でないことは確実だ。そして、そのような結果がもたらされるのは、世界中の株式市場ということになるだろう。

編集=木内涼子

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