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2018.12.29 18:30

「現代アートを買うとき、心すべきこと」| 『REALKYOTO』発行人兼編集長 小崎哲哉 #2019を読む

(Photo by Awakening/Getty Images)

(Photo by Awakening/Getty Images)

2018年3月に『現代アートとは何か』(河出書房新社)を上梓されたアートジャーナリズムの一人者、小崎哲哉氏に、2019年の現代アートの動向と同時代人としての関わり方について伺った。

──2019年のアートシーンは? 期待することは?

まず2019年は、2年に一度のベネチア・ビエンナーレの年です。「アートフェア」ではなく、「アートフェスティバル」であり、アート市場の動向とは建前としては無関係な、いわば純粋アートの祭典と言っていいでしょう。それだけに、ここでどんな作品が出るか、とても楽しみです。

今、アートマーケットは非常にクレイジーです。経済格差が拡大するとともに、サウジアラビアの皇太子とか、お金持ちたちが値を釣り上げている。

当然、アート市場でお金を儲けたいと思っている人たちもいて、それを苦々しく思っている人たちもいる。そんな、いわば確執めいたものを去って、たとえ建前としてでも、純粋なアートの世界が今どんなものか、このベネチア・ビエンナーレで見られるのは本当に楽しみですね。

また、ドナルド・トランプの大統領就任など、国際政治の状況がひどいことになっている中、直接的に「政治的な作品」は増えていくでしょう。

──ソーシャルメディアは現代アートの作り手・鑑賞者・展示者にどういう影響をもたらしますか?

SNSは世界的な傾向として、もうすっかり時代を巻き込んでいますね。年間にとんでもない枚数、一説によれば2.5兆枚以上の画像がオンラインでシェアされたり保存されたりしているといいます。SNSはもう、アート業界にも認知されています。

そのあらわれとして、館内での撮影を許可する美術館が増えています。インスタグラムなどで拡散、宣伝される効果が、著作権問題をうんぬんするよりも得策だという判断が一般的になっているからでしょう。キュレーターたちも、おおむねOKと思っているのではないかと思います。

美術館の態度としては、これからもこの動きは続くでしょう。アートの世界は、主催者の立場からもどんどん、開かれた分野になっていくと思いますね。

作り手の関わり方ですが、リチャード・プリンスやシンディ・シャーマンを始め、自分の作品を自分のインスタに上げるアーチストも増えています。SNSを「使える媒体」として実際に使っていくアーチストがますます多くなっていくでしょうね。
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構成=石井節子

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