2019年メディア・エンタメ界で起きる4つのデジタル変革

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先日、子どもたちとホテルに滞在した際、部屋でテレビをつけると、ちょうど子どもが大好きな映画が放送されていた。映画はすでに半分ほど終わっており、子どもたちは私に「最初に戻して」とせがんだ。テレビではそんなことはできないということを知らなかったのだ。

私の子どものようなジェネレーションZにとって、映画の一部を「見逃す」というのは、意味がわからない概念なのだ。この世代は、コンテンツに常にアクセスでき、好きな映画が常に観られる動画ストリーミングの世代だ。メディア分野で次々とデジタル変革が実現されることに慣れた世代にとって、デジタル暗黒時代に戻ることは難しいだろう。では今後数年間で、一体どのような変革が起きるのだろうか?

私は昨年も、メディアやエンターテインメントを含む複数の業界で起きる主なデジタル変革のトレンドを紹介し、人工知能(AI)が生み始めた影響から、ケーブルテレビ離れ、さらには仮想現実(VR)や複合現実(MR)がメディアの消費に与える変化などに注目した。2019年を目前に控えたエンタメ・メディア分野で起きているデジタル変革は、メディア消費のトレンドを大きく反映したものだ。

人々は、自分の興味に合わせたオンデマンドのコンテンツをいつでも好きなときにアクセスできることを求めている。一方で広告主の企業は、こうした消費者に訴求する手段として、動画に照準を合わせている。2019年に見込まれる大きな変革は次の4つだ。

1. コマーシャルの増加

2019年には、デジタル動画広告が増加するだろう。米調査会社イーマーケターによると、デジタル動画のプログラマティック広告量は2015年から19年の間でほぼ倍増する見通しだ。(ユーザー側からしてみれば、コンテンツ視聴やウェブページ訪問時に再生されるコマーシャルに対していら立つことが増えるだろう)

これはつまり、どこでメディアを消費するかに関係なく、広告を目にする量は増えていき、データの量が増えるにつれてこうした広告は個人の好みにいっそう合わせたものになるということだ。

2. マーケティングへのAIと機械学習の活用

マスマーケティングや、手当たり次第でマーケティングを行う時代はもはや終わった。ストリーミング企業は現在、極度にセグメント化されたオーディエンス向けのマーケティングに機械学習とAIを活用することで大きな成功を収めている。多くの視聴者はストリーミング企業からのおすすめを通してコンテンツを見つけており、いわば「私専用チャンネル」が作られている。

これは音楽も同じだ。私が新たに発見したバンドの大半は、スポティファイがユーザー個人に合わせて行う楽曲選択のおかげで知ったものだ。ヒップなレコード販売店の時代は終わった。今は、アプリ上で自分が好きな音楽についての情報を入力するだけで、無名のバンドについて知ることができる。これはコンテンツ制作者にとっても、消費者にとっても良いことだ。
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編集=遠藤宗生

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