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Georgii Shipin / Shutterstock.com

ハーバード大学の研究チームが、地球温暖化を抑止するために、太陽光を遮断するプロジェクトを始動させようとしている。太陽光を人工的に遮断し、地球の気温をコントロールすることは数十年前から考えられてきたが、実行に移されるのはこれが初めてだ。

SCoPExと呼ばれるこのプロジェクトでは、300万ドル(約3億4000万円)の予算を投じ、アメリカ南西部からバルーンを飛ばし、上空20キロの成層圏に送り込む。バルーンからは炭酸カルシウムの粒子が放出される。実験は早ければ2019年春から始動する。

この実験のヒントとなったのが、大規模な火山噴火が地球の気温に与える影響だ。1991年にフィリピンのピナツボ火山が大規模な噴火を起こした際には、噴き上がった二酸化硫黄が太陽光を遮断し、およそ1年半の間、地球全体の気温を0.5℃押し下げた。

気候変動への脅威が高まるなか、G20が批准したパリ協定では、温室効果ガスの排出量の削減目標が決定された。一方で、大気中から二酸化炭素を取り出し、地殻に閉じ込める「二酸化炭素隔離」と呼ばれるプロジェクトなど、エンジニアリングを用いた対処法の研究も進んでいる。

そして、その次のオプションとなり得るのが太陽光を遮断する方法だが、これには科学界から反発の声もあがっている。太陽光を遮断した場合、降水パターンや作物の収穫、オゾン層に与える影響は未知数だからだ。

ハーバード大学の研究チームは今回の実験において、成層圏でチョーク(炭酸カルシウム)の粉を散布し、その影響を見極めようとしている。ビル・ゲイツからも出資を受けているこのプロジェクトは、早ければ来年にも何らかの結論を導き出すかもしれない。

2018年10月に開催された、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、2030年に世界の気温が産業革命前に比べて1.5度上昇すると警告された。

一方で、成層圏で継続的に粒子を散布する方法であれば、比較的低いコストで、1.5度の気温上昇を抑制できる可能性がある。

編集=今村

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