薬物乱用が増加する米国、平均寿命が3年連続で短縮

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米国人の平均寿命が3年連続で縮んだことが分かった。これは、公衆衛生の分野に関わる多くにとっては驚くような調査結果ではない。米国では自殺者数も薬物の乱用も、増加が続いているためだ。

米薬物乱用・精神衛生管理庁(SAMHSA)が実施した薬物の使用と健康に関する全米規模の最新の調査によると、昨年1年間に違法薬物を使用した人は、前年比で6%増加していた。また、同じ期間に違法薬物を使用した人(12歳以上)は、約3060万人に上っている。

こうした結果からみても、米国に大きな影響を及ぼしている薬物の使用について考えてみることは、極めて重要なことだ。依存症治療関連のサービスを提供するアメリカン・アディクション・センターズ傘下のリカバリー・ブランズが運営するウェブサイト「デトックス・ドット・ネット(Detox.net)」は、州によって異なる状況について調査を行い、その結果を公表している。以下、その主な内容の一部を紹介する。

・米国人の平均寿命は2017年、前年の78.7歳から78.6歳に縮んだ。だが、女性の平均寿命は変わっておらず、全体としての結果は、男性の平均寿命の短縮が原因だ。

・米麻薬取締政策局(ONDCP)によると、 米国内では年間1000億ドル(約11兆3360億円)相当の違法薬物が取引されている。薬物犯罪に最も多く関連していたのは、全米ではメタンフェタミン、南部の州では大麻だった。薬物犯罪の発生率が最も高いのはバーモント州で、ヘロインが関与するケースが最も多くなっている。

・バーモント州で起きた全ての犯罪のうち、61%が違法薬物に関連していた。次いでこの割合が高かったのは、コネティカット州(55%)、ハワイ州(50%)だった。最も低かったのは、16%にとどまったニューメキシコ州だ。

・国内の30州では、薬物犯罪にはメタンフェタミンが最も多く関与していた。大麻が関わるケースが最も多かったのは、アリゾナ州とニューメキシコ州のみ。

・メーン州とバーモント州では嗜好用大麻が合法化されていることから、大麻が関与した薬物犯罪は起きていない。一方、コネティカット、デラウェア、ニューハンプシャーの各州で認められているのは医療目的での使用のみだが、それでも大麻が関わる薬物犯罪の件数はゼロだった。

・薬物犯罪で有罪となった場合、デラウェア州では100%、禁錮刑が言い渡される。最も罰則が緩いロードアイランド州では、その割合は63%未満だ。刑が最も厳しいのはアイオワ州で、禁錮刑となった場合の刑期は平均111カ月(9年)。一方、最も刑期が短いアリゾナ州では、平均17カ月となっている。

編集=木内涼子

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