「金融に興味のある子」に育てる環境のつくり方

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子どもに強制することは逆効果

親は自分の経験をふまえて、自分の子どもに「これを習わせたい」「こうなって欲しい」という気持ちを持つ。たとえば、大人になって英語で苦労したり悔しい思いをしている場合は、子どもに小さい頃から英語の勉強をさせたり、インターナショナルスクールに入れたいなどと思うだろう。

その親心は筆者も痛いほど共感するが、自分の子ども時代を振り返っても、親に強制されたことが良い方に転がった試しがない。あまりにも強制がヒドい場合、むしろそのことに嫌悪感を抱いてしまうなど、効果がないどころか、逆効果になってしまうことすらある。

つまり、金融教育の実践として、子どもに資産運用や株式投資をさせるにしても、強制するのはよくない。しかし普通に生活をしていて、幼稚園児や小学生が「株式投資がしたい!」とは言わないだろう。となると、子どもが興味を持つ「きっかけ」が生まれるような環境を用意することが必要になる。

環境は日常生活から作り出していく

ではそれは環境とはなんだろうか。親の部屋に大量のモニターが配備され、その前でアクティブにトレードしている姿を見せることだろうか。インパクトはあるが、ほとんどの家庭では非現実的だろう。

筆者は、普段の生活の中で、少し工夫をするだけで十分なのではないかと考えている。たとえば、週末自宅で新聞を読むのなら、子どものいる空間で読むようにする。当然、遊んでいる最中なら親には目もくれないだろうし、退屈しても新聞を読んでいる親に近寄って来ないかもしれない。

しかし、ある時、「何が書いてあるの?」と聞いてくる瞬間は訪れる。その時、難しい話をする必要はない。簡単に説明をする。そのときは「ふーん」と興味を示さないかもしれないが、最初の一歩はそれでよい。

また、一緒に出かけたときに銀行や証券会社があれば「あれが〇〇銀行だよ」などと声を掛けたりすると、「何をするお店?」などと聞いてくる。そこでも、難しいことは言わずに、簡単に何をする店かを話せばよい。

筆者は子どもと一緒に買い物に行く時は、必ずレジに一緒に連れていき、目の前で現金やクレジットカードで払うところを見せたり、色々な商品の値段を口に出したりしている。

こうしたところで、子どもがすぐに金融に興味を持ち、「株式投資をしたい」と言うわけではないのだが、少しずつお金や経済など投資に関わることに違和感を覚えないようにしてあげるだけでも十分だ。

子どもが興味を持つまではそれなりの時間がかかるだろう。それでも強制することなく、気長に環境を用意し続ければいい。そして、いざ子どもが興味を持ったら、最低限の手助けをしつつ、軌道に乗るまで適宜サポートをすべきだろう。

その先も手を貸したくなる瞬間があるかもしれないが、過剰な介入は厳禁である。過程で色々な失敗をしたりと、親がヒヤヒヤする場面ほど、子どもには良い経験になったりするのだ。

連載 : 0歳からの「お金の話」
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文=森永康平

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