2年で順調に見える船出だが、今後、どう舵を切っていくのか。Bリーグの現状、そして今後に向けた課題を公益社団法人ジャパン・プロフェショナル・バスケットボールリーグ(以下、Bリーグ)事務局長を務める葦原一正に伺った。
──3シーズン目を迎えるBリーグですが、ここまで振り返ってみて葦原さんの思う大切にされているポイントについて伺いたいと思います。
葦原:私が思う 1番のポイントはナレッジシェアです。スポーツビジネスについてみんな色々と語るのですが、そもそも奇策なんてありません。野球、サッカー、バスケットボールであろうと極論、他の消費財と同じで、普通のプロモーションやマーケティングを行う。当たり前のことを極めて当たり前にやるだけです。
その中でも集客が出来た、出来ていないという成功例も失敗例もリーグ全体で共有することが必要だと思います。コピーすることは日本人の得意分野じゃないですか。コピペ文化はすごく大事だと思っていますし、そこに自分達の色やマインドを付けようというのが重要ですね。ナレッジシェアを徹底的にやるのが何より大事だと思っています。
その際に重要なのが、リーグの立ち位置になってくると思います。リーグは基本的にクラブに嫌われる存在なので、あまり入り過ぎてはいけません。いつも言っているのは世の中にいる“おせっかいなおばちゃん”を目指すということです。お見合いをセッティングするけど、その後は「若いお二人で…」という感じが良いですね。
リーグとクラブが仲良くなるのではなく、クラブ同士が仲良くなることが本質。そのための合コンをセッティングする幹事みたいなイメージですね。そのようにやるのが大事だと思っていて、意外にそういうところの積み上げで毎年伸ばしていっている感じですね。
──ここ2年間の成長率は想定内、割と予定通りに来ているなという感覚ですか?
葦原:そうですね。1年目が終わり、2年目の目標をどうするか考えた時に、目標値を10%に設定していました。結果、本当に10%でした。完全に勘でしたが、前職の横浜DeNAベイスターズ時代も実は10%だったんです。
スポーツビジネスにおいて、この10%は実はめちゃくちゃ高いです。そこを基本線におき、2020年まで10%を継続していくことが出来れば入場者数300万人に達成することが出来ると思いました。そうすればB1リーグでは、ほぼ全会場が満員になるという計算でした。
目標としては高いですけど、これくらいやらないとダメだろう、と。そこはクラブのみなさんが本当に頑張っていただいたおかげで2年目も10%を達成することができ、3年目は、今のところ昨年より少し上乗せした程度なのでまだこれからですかね。