科学的見地から見る、記憶を改善する5つの効果的な方法

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3. 集中力の向上法を実践する

記憶と集中力が使う脳の神経領域はほぼ同じで、集中力を向上させる瞑想(めいそう)などの手法には記憶力向上効果もあることが研究で示されてきた。

瞑想は特に動作記憶(1日を通して必要な情報を一時的に保持すること)の向上に効果的で、動作記憶から必要なものを取り出すプロセスを素早く円滑にするようだ。

瞑想をどれくらい続ければ記憶向上効果が得られるかについては、研究により2週間、8週間などまちまちだ。また、瞑想が記憶力を向上させる理由についてはいまだに断定できないが、瞑想により心が静まり、必要なとき必要な情報に集中する力が高まるからかもしれない。

4. カフェインの入ったコーヒーや茶を飲む

カフェインは記憶を含め、さまざまな認知機能を改善する万能物質だ。大量に摂取すると危険な場合があり、常に慎重に扱う必要はあるが、記憶力向上効果があることにはほとんど疑いの余地がない。

ジョン・ホプキンス大学の研究者らは、カフェインを通常摂取しない人を対象に実験を行った。被験者は一連の画像を見た後、カフェイン錠剤200ミリグラムか、見た目が同じプラシーボ(偽薬)を与えられた。次の日、各グループに前日と全く同じ画像、似た画像、全く違う画像を見せたところ、前日にカフェインを摂取したグループはプラシーボを飲んだグループと比べ、元の画像と似た画像を著しく高い確率で認識し、細かい部分の違いまで見分けていた。

つまりカフェインを摂取していたグループは、非常に似通った画像の間の具体的な違いを覚えており、鋭い記憶力を発揮していることが強く示された。

コーヒーや茶はカフェインの摂取源として最も信頼できる食品で、抗酸化物質などの化合物も豊富でその他の健康効果も多い。カフェインが大量に入った栄養ドリンクやソフトドリンクよりも、コーヒーや茶を選ぼう。

5. フラボノイドを豊富に含む食品を食べる

フラボノイドは、暗めの色のベリーやカカオなどに豊富に含まれる抗炎症作用のある化合物で、研究からは心臓血管の健康を改善し、がんの予防効果さえある可能性が示されている。また記憶に関しては、フラボノイドが豊富なブルーベリーなどの食品の摂取量を数週間増やすことで記憶力の低下が抑制され、情報を思い出す力が向上することが複数の研究から示されている。

米科学誌の農業食品化学ジャーナル(Journal of Agricultural and Food Chemistry)に掲載された長期的な調査では、70歳前後の参加者グループが毎週一定量のブルーベリー(1人1回の提供量の2回分)を数週間かけて摂取したところ、実験前と比べて記憶力の低下が鈍化した。

また、カカオの含有量が70%以上のダークチョコレートにも、記憶力向上効果があるとする興味深い研究が存在する。確実に効果が出るわけではないことを認識しつつ、試してみる価値はある。

翻訳・編集=出田静

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