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(photo courtesy of Carbon)

3Dプリンター業界のユニコーン「カーボン(Carbon)」は11月12日、3種類の樹脂製品の価格を大幅に値下げした。同社の狙いは3Dプリント技術をさらに普及させることだ。

共同創業者兼CEOのJoe DeSimoneは次のように述べている。「3Dプリンターはもはやプロトタイピング向けではなく、量産向けに使う転換期に差しかかっている」

3Dプリンターの課題は、射出成形などに比べると材料費が大幅に高くなることだ。3Dプリンターは、複雑なデザインをより美しく効率的に作ることが可能だが、普及させる上でコスト削減は不可欠だった。

カーボンは昨年、幅広い用途に使われる「RPU70」(硬質ポリウレタン)の価格を、1リットル当たり250ドルから150ドルに値下げした。また、クッションやシーリング材に使われるエラストマーに似た「EPU 41」(弾性ポリウレタン)と、電気コネクタに使われる「EPX 82」(エポキシ樹脂)についても、1リットル当たり300ドルから150ドルに値下げした。

今回の新価格は、これら3つの製品を50リットル以上購入した際に適用されるという。これに対し、射出成形に使われるプラスチックの価格は、1ポンド(約454グラム)あたり5〜15ドルとなっている。

DeSimoneは、今回の値下げによって工場での量産に3Dプリントを導入する障壁が削減されることを期待している。「射出成形の場合、多く製造すればするほどコストが低減するが、3Dプリンターは1個作ろうが1000個作ろうがコストは変わらないと言われてきた。それは、樹脂の価格が変わらないからだ」とDeSimoneは話す。

カリフォルニア州レッドウッドシティに本拠を置くカーボンは、3Dプリンター業界で最も成功したスタートアップの1つだ。同社はこれまでにフィデリティやセコイア、GV、GEベンチャーズなどから総額4億2200万ドル(約479億ドル)を調達し、評価額は17億ドルに達する。最近、Elisa de MartelがCFOに昇格し、元KPMGのマネージングディレクターであるDebbie Messemerが監査役に就任した。

財務部門の強化は、IPOを目指す企業によく見られる動きだ。DeSimone にIPOの可能性を尋ねると、「そう考える人もいるだろう」という答えが返ってきた。

顧客にはアディダスも

カーボンは、アディダスに3Dプリントスニーカー「Futurecraft 4D」のミッドソールを提供していることで知られている。このミッドソールは軽量で格子構造をしており、3Dプリンターでなければ製造することができない。

カーボンにとってもう1つ大きな市場が歯科分野だ。3Dプリンターはアライナー(矯正装置)に活用されているが、カーボンはFDAの認可を受けた初の3Dプリント義歯を開発した。

製造業の市場規模はグローバルで12兆円あり、その中に占める3Dプリントの割合はまだ微々たるものだ。しかし、DeSimoneは原材料費の削減や新たなテクノロジーの開発、用途の拡大などによって将来的には3000億円市場に育つと考えている。

DeSimoneはその時期については明言せず、次のように語った、「人は1年で達成できることを過大に見積もり、10年で達成できることを過小に見積もりがちだ」

編集=上田裕資

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