太陽熱燃料は物質を日光にさらすことで分子の形態を変形させ、蓄エネルギー材料として利用可能にするもの。エネルギーを長期保存することが可能で、触媒によって活性化させて熱を放出させることができる。これは家屋の暖房などにおいても、非常に役立つエネルギーになりそうだ。
この燃料は炭素と水素、そして窒素の分子からできている。有機化合物であるノルボルナジエンの分子に、太陽光をあてると原子結合が変化し、クアドリシクランと呼ばれる物質ができる。化学変換によって分子構造を変化させることで、エネルギーをため込むことができる。
エネルギーを保持した分子は安定していて、化学結合も強いため、20年近くもエネルギーを貯蔵しておける。また、触媒によってノルボルナジエンに戻せば、熱となってエネルギーが放出される。
研究チームによると、触媒プロセスによって燃料の温度は63℃も上昇するという。仮に室温が21℃ほどだった場合、燃料の温度は約84℃まで上がることになる。この熱を住宅や商業施設の暖房に使えるというわけだ。
研究チームは、更なるテストと最適化のプロセスを踏めば、温度をさらに高めることが可能だとしており、成功すれば発電用にも使えることになる。
実現に向けては課題も多いが、投資家らもこの技術に興味を示しており、10年後には商業化できると研究チームは見ている。太陽熱燃料は太陽光以外の外部からのインプットは必要なく、再利用も可能だ。コスト的な観点から考えても、将来的に大きな期待が注がれる技術といえる。