米道路損害データ協会(HLDI)が保険金請求データを分析した調査では、嗜好用マリフアナ(乾燥大麻)の販売を合法化したコロラド、ネバダ、オレゴン、ワシントンの4州では衝突事故が6%増加したことが示された。
また、警察に報告された衝突事故のデータを基にした米道路安全保険協会(IIHS)の調査では、コロラド、オレゴン、ワシントンの3州における衝突事故の発生率は、マリフアナの販売を合法化していない隣接する州と比べ5.2%増加した。
HLDIのIIHSの両協会で会長を務めるデービッド・ハーキーは発表文で「マリフアナのあらゆる目的での使用を合法化することで、交通安全に悪影響が生じている」と指摘。「マリフアナの合法化を検討している州は、交通安全への影響を考慮しなければならない」と述べた。
米国では現在、マリフアナ合法化の機運が高まっている。カナダでは先日、嗜好用マリフアナが合法化された。IIHSとHLDIは、マリフアナの影響を受けている状態での運転は米国全土で違法であるものの、マリフアナが運転能力に与える悪影響を計るのは難しいかもしれないと指摘している。理由は複数ある。
まず、衝突事故にマリフアナが果たす役割は、アルコールと衝突事故の間の関連性ほど明確ではない。
「アルコールと違い、体内に存在するマリフアナの量は、運転能力の低下と常に関連しているわけではない。大麻に含まれる主要な向精神成分、テトラヒドロカンナビノール(THC)とその活性代謝物の検査で陽性反応が出たとしても、衝突事故が起こった時点で、運転手の運転能力が低下していたとは限らない。マリフアナを常習使用する人は、使用後も数日から数週間、血液検査でTHCの陽性反応が出るかもしれない」
さらに、多くの州では、衝突事故報告に運転手の薬物使用に関する一貫した情報が記録されていない。薬物検査の指針や手順は場所によってまちまちで、検査ではアルコールや他の薬物が同時に検出されることも多いため、それぞれの影響を切り離して考えることは難しい。
「マリフアナによる能力低下が衝突事故のリスクに与える影響を特定することは難しいが、使用を合法化すると衝突事故が増えることを示す証拠は増えている」とハーキーは述べている。
両調査結果をまとめたレポートではさらに、大麻の影響下で車を運転する人々は、それが危険な行為とは考えずに子どもを同乗させていることを明らかにした新たな調査結果も紹介している。