最近の報道によれば、テスラが高級EVだけでなく、高級車全体を含めた市場でより多くの顧客を引き付けていることは明らかだ。これは、テスラにとっては幸先の良い話だ。
第3四半期(7~9月期)の決算発表で同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、多額の設備投資を行うことなく、生産台数を週当たり5000台から7000台に増やすことができたと説明した。生産台数が増え、1台当たりにかかる固定費が減少すれば、テスラは内燃機関(ICE)車と完全に競合する価格のEVで、利益を上げることが可能になる。
競合各社はどうする?
「テスラ・キラー」の開発において、大手自動車メーカー各社がこれまでいかに無力であったかには驚かされる。例えば、逃げの姿勢を取り始めたようにも見えるフォードは今年4月、最も収益性の高いクロスオーバーとSUVに集中するため、その他モデルの一部の生産を取りやめると発表した。
だが、テスラが今後、SUVを作ることができないという理由はない。利益率の高い製品に絞るというフォードの決定は、単に同社をテスラとの競争から当面の間は守ってくれるということにすぎない。
また、メルセデスとボルボはEVのコンセプトカーを発表しているが、これが基本的に意味するのは、両社がテスラと競合するモデルの生産を開始するのはまだ何年も先だということだ。
シボレー・ボルトを販売するゼネラルモーターズ (GM) は、理論上はテスラと競合しているように思える。だが、ボルトの販売台数は9月に40%減少。この大幅な減り方からみれば、GMはあまり多くのボルトを売りたくないのだと考えることもできる。
ボルトがGMの利益を奪っているのであれば、それも納得できる。また、同社はただ、ゼロエミッション車(ZEV)のメーカーであるという誇りを失いたくないだけかもしれない。