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2018.10.31

現金は役に立たない ファンドマネージャーに学ぶ「災害への備え」

豪雨に台風、そして地震。今年も多くの自然災害が日本各地で猛威を振るっている。備えあれば憂いなしというが、災害時は必ずしも現金が役に立つわけではないと筆者は説く。


日本の大豪雨に次いで台風21号、さらには北海道で大地震と災害が続いている。被害は広範囲に及び、多くの方々が被災された。被災されたすべての方に心よりお見舞い申し上げます。

よほど楽観的な人でない限り、“災害大国”日本では災害は人ごととは思えないはずだ。そう遠くない将来、南海トラフ地震が来ることも確実だと言われている。災害に対する備えがあるに越したことはない。

私たちの人生にとってお金はとても重要だ。しかし、ここで改めて強調するまでもなく、お金よりも健康と命は大切だ(まれにお金のほうが大切だと思っているような人もいなくはないが……)。

私は投資家なのでお金を増やすのが仕事であるし、資産の大半は株式や投資商品にすでに投資している。その中で非常時用に私がしていること、準備していることを読者諸賢と共有したい。

まずは、カバンの中に一定の災害用グッズを常時携行している。一つはマグライトの懐中電灯。暗いところに閉じ込められたとき、停電の対策になると同時に、持ち手が頑強なのでハンマーの代わりになる。

それから常備薬、小さい包帯とロキソニン。ケガの応急処置と痛み止め用だ。あとは笛。地震などで建物の倒壊に巻き込まれ、体力がなくなったとき、瓦礫の中から助けを求めるのは大変だ。そのときに笛があるのとないのとでは大違いだと思う。それと、携帯電話用の充電器は常に満タンにしている。今や、携帯電話がライフラインの一つであるから。

あと常にペットボトルで水やお茶を持ち歩いている。小さなカロリーメイトと飴。エネルギーの補給のためだし、実際に小腹が空いたら使っている。

私はこれらを常に携行している。自宅でも同じように備蓄している。まずは水を48リットル。これは12リットルの備蓄水4つ分だ。あと必ず浴槽の水はためている。飲み水以外でも水は必要だから。ほかには、カセットコンロと非常用の食料。キャンプ用のグッズなどはおおかた役に立つ。電池の備蓄もしている。水や食料、電池は災害があると、あっという間に店からなくなってしまう。お金を持っていても、買うことができなければ意味はないのだ。
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文=藤野英人 イラストレーション=スズキ シゲオ

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カリスマファンドマネージャー「投資の作法」

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