ビジネス

2018.11.02

パリで感じたイノベーションの熱とマクロン大統領の本気

Viva Technology 2018

今年の5月、シリコンバレーからイスラエルの投資家の先輩を訪ね、テルアビブのホテルで彼と会話をしながらフェイスブックに流れるニュースを見ていた時のことだ。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、「Welcome innovators」と演説されていた。衝撃だった。「え、もしかして私はフランスに呼ばれてる?」と、勝手にそう思った。そして、大統領が何のイベントについてスピーチしてるのか調べると、Viva Technology 2018と書いてあった。

恥ずかしながらそのイベントを知らなかったので先輩に聞くと、どうやらパリで開催されるヨーロッパ最大規模のスタートアップとテクノロジーのイベントで、イノベーション促進を目的としているものだという。なんと、マーク・ザッカーバーグもスピーカーで呼ばれている。絶対に行きたいと思い、他の予定をずらすのも覚悟で、その場ですぐに申し込んだ。

翌日、イスラエルからフランスに飛ぶことにした。イスラエル空港でフランス人の芸術家と仲良くなり、パリ空港に着いてから市内のホテルまで一緒にウーバーに乗車した。後に、彼を訪ねにモンペリエに行った時、起業家と出会うことになるとは夢にも思わなかった。

10万人規模の大規模イベント

5月24日、9000社を超えるスタートアップ、1900人の投資家、1900人のジャーナリストが参加するViva Techに、シリコンバレーで出会ったフィンランド人の友人と参加した。長い行列に並び、30分ほどでようやく中に入れた。チケット代はそう安くはないが、サンフランシスコの大規模イベントに比べると安価だった。今年は、125カ国から約10万人が来場するという、規模感が衝撃だった。

まだ見たことないテクノロジーはないかと思っていたら、入口にすぐに、自動運転のスタートアップがあった。彼らに話しかけてみると、自社独自のAI(人工知能)により、巨額の資金調達に成功したと教えてくれた。

数年後の未来の車は、運転手が不要で、3〜4人でミーティングをしている間に目的地に連れて行ってくれる、と嬉しそうに語っていた。「あれ、ここは、グーグルキャンパスだっけ?」と思ってしまうほど、シリコンバレーと温度差を感じなかった。



Viva Techは、基調講演のスピーカーに世界中から政府の要人や著名なCEOを招いていた。ルワンダのポール・カガメ大統領、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO、マイクロソフトのサティア・ナデラCEO、IBMのジニ・ロメティーCEO、ウーバーのダラ・コサロウシャーヒCEOなどなど。彼らはステージで、自社のテクノロジーやサービスでどう世界を変えていくかを中心に語っていた。
次ページ > もう少し“歓迎ムード”が必要?

文=森若幸次郎

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事