ビジネス

2018.10.30

寄付をしない米国の富豪、ドナルド・トランプの銭ゲバぶり

ドナルド・トランプ(Photo by Scott Olson/Getty Images)

フォーブスが10月に発表した米国の富豪ランキング「フォーブス400」に登場するビリオネアたちの多くは、気前よく自らの資産の一部を寄付している。米国トップの400名のうち、36名は10億ドル以上の金額を慈善活動に注いでいることが分かっている。

しかし、膨大な資産を得ていながら全く慈善活動に関心を示さない人たちもいる。フォーブス400のメンバーのなかで実に76名に及ぶ人々が、3000万ドル以下、もしくは資産額の1%未満しか寄付していない。

ドナルド・トランプの場合は、自身が立ち上げた慈善団体をめぐり、当局から訴訟を起こされている。1987年にトランプは「ドナルド・J・トランプ財団」を立ち上げ、自身の前年の著書「トランプ自伝:不動産王にビジネスを学ぶ(Trump : The Art of the Deal)」の売上をこの財団に寄付すると述べていた。

しかし、その後30年間、トランプはこの財団を政治献金の受け入れ窓口として利用し、その資金を自分のものとして用いてきた。2018年6月に米ニューヨーク司法当局は、財団の解散と280万ドル(約3億円)の罰金支払いを求める訴えを起こした。当局はトランプが財団を私物化し、2016年の大統領戦にその資金を利用したと訴えている。トランプ側はこの訴訟が、政治的意図によるものだとしている。

一方で、米国で58位の富豪でありながらフォーブスの調査では、わずか1度の寄付しか確認できていないのが、不動産王でNFLチーム「ロサンゼルス・ラムズ」のオーナーであるスタン・クロエンケだ。

現在71歳の彼の妻はウォルマートの創業者一族のウォルトン家出身の、アン・ウォルトン・クロエンケだ。クロエンケ夫妻は2017年にハリケーン・ハービーの被災者救済の名目で、赤十字に100万ドルを寄付したことが確認できている。しかし、ロサンゼルス・ラムズが地元の若手選手育成のために設立した基金に、夫妻は一切、寄付を行っていない。

彼らが匿名で寄付を行った可能性もあるが、フォーブスの取材にクロエンケの広報担当は回答を避けた。

寄付に関する前向きな姿勢は、年齢とも関わりがあるのかもしれない。ドロップボックスの共同創業者で35歳のドリュー・ヒューストンは、2018年3月に同社を上場させた直後に、500万ドルを新たな基金に寄付していた。また、スナップの共同創業者で30歳のボビー・マーフィーはこれまで、5400万ドル相当のスナップの株式を寄付している。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事