シンギュラリティ大学(Singularity University、SU)は、「最先端のテクノロジーの可能性を学び、互いに刺激し合い、スキルを身につけることで、卒業生たちが人類の課題に取り組めるよう支援する」ことをミッションに掲げ、2011年に発足した。
起業家、大企業、研究者、投資家、政府関係者を中心に、各界のリーダーにシンギュラリティーの時代について学んでもらうことで、最終的に1000のスタートアップが生まれ、10億人の生活にインパクトを与えることを目標に掲げている。
冒頭に書いたようなことが実際に実現できるのがいつになるかは別として、これまで私たちが常識では考えられなかったようなことの多くが可能になる日は確実に近づいている。
倍率「数十倍」の人気プログラム
10月のサンフランシスコ訪問時、SUの取り組みについて創業者でCEOを務めるロブ・ネイル氏に話を聞くことができた。
シンギュラリティ大学については、「普通の大学の授業とどう違うの?」と思われる読者も多いのではないだろうか。SUはその活動について、以下の3つの柱を掲げている。
1. クライアントのニーズに応じてカスタマイズされた少人数の教育プログラム
2. 参加者の知的好奇心と行動への意志を刺激するための大人数のカンファレンス
3. 社会的にインパクトのあるプロジェクトを生み出すことのできる研究所設立
教育プログラムの中には、シリコンバレーにあるSUキャンパスの寮に寝泊まりしながら10週間学び続けるGlobal Solution Program、1週間のExecutive Programのほか、通年のプログラム(3週間のブートキャンプを3回、その間に母国で実際にプロジェクトに取り組むサイクル)も開発中とのこと。ネイルズ氏によれば、10週間のGSPは定員90人の枠に数千人の応募がある年もあったという。
カンファレンスは、シリコンバレーで行うものと、世界各国でプログラムの卒業生やパートナー企業を集めて行うものとあり、小規模なものは200人程度、大規模になると2000人ほどのイベントになるそうだ。単純にテクノロジーについて新たな知識を学ぶだけではなく、それを使ってインパクトを出していくためのリーダーシップと戦略も継続的に支援して行くコンセプトがユニークといえる。
プログラム終了後も刺激を受け続けている
シリコンバレーのSUには毎年世界各地から多くの選ばれしリーダーが集結する。私たちの学校(ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン)の評議員を務めてくださっている柳沢正和さんが昨年の夏に参加していたことを思い出し、率直な感想を伺ってみた。