バンズについては、カビが生えるのを防ぐ目的で使われている保存料のプロピオン酸カルシウムの使用をやめる。過去の研究では、この保存料が子供の行動に悪影響を及ぼしている可能性が指摘されている。
「Journal of Pediatrics and Child Health(ジャーナル・オブ・ペディアトリクス・アンド・チャイルド・ヘルス)」に発表された論文によると、プロピオン酸カルシウムは子供の「易刺激性、情動不安、不注意、睡眠障害を引き起こす可能性がある」という。
また、マクドナルドは保存料のソルビン酸の使用もやめる。チーズのカビの発生を防ぐ効果があるソルビン酸は、ラットやマウス、イヌを使った研究で「ほぼ毒性がない」ことや、発がん性もないことが確認されている。ただし、米国立医学図書館の有害物質データバンクによれば、化粧品に含まれるソルビン酸にアレルギー反応を起こす人もいるという。
ビッグマック・スペシャルソースには、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウムなど、いくつかの保存料が使用されてきたが、今後はこれらの使用も中止する。
ソルビン酸カリウムは、ソルビン酸と水酸化カリウムから作られるもので、カビの発生や増殖を抑える効果がある。欧州食品安全機関(EFSA)はこの防腐剤の1日許容摂取量を体重1kg当たり3mgとしている。ただし、一方でソルビン酸カリウムは、発育上の問題や生殖機能上の問題との関連性に疑問が持たれている。
安息香酸ナトリウムは細菌などの繁殖を防ぐために使用されるが、アスコルビン酸(ビタミンC)と組み合わさると化学反応を起こし、発がん性のあるベンゼンを生成する可能性があることが分かっている。また、エデト酸カルシウム二ナトリウムは米食品医薬品局(FDA)によって、使用量に制限が設けられている。
「品質向上」で顧客獲得へ
米マクドナルドのクリス・ケンプチンスキー社長はこれらの食品添加物の使用中止に関連して、「わが社の顧客にとって重要なのは、質の高い選択肢が提供されていることだ。クォーターパウンダーの材料を冷凍牛肉から生鮮牛肉に切り替えたことや、大半の店舗では注文を受けてから調理する方式に変更したこと、チキンマックナゲットの保存料の使用をやめたことなど、わが社はこれまでもメニューの質の向上において大きな前進を遂げてきた」と述べている。クラシックバーガーについての変更もまた、これらの一環だという。
使用する原材料が変更される「クラシックバーガー」には、ハンバーガー、チーズバーガー、ダブルチーズバーガー、マックダブル、クォーターパウンダー・チーズ、ダブルクォーターパウンダー・チーズ、ビッグマックが含まれる。ただし、ピクルスについては今後も人工保存料の使用を継続する。
マクドナルドはこうした変更を通じて、食品添加物を心配する消費者のより多くを呼び込みたい考え。健康的な原材料の使用を重視する動きはファストフード業界でも見られており、今回の同社の決定も、それに倣ったものといえる。