射撃場のオーナーらは、自分たちは合法的な市場で事業を営んでいることを指摘する。民間射撃場の多くは、警察や軍、警備隊の訓練場となっているものも多い。
ペンシルベニア州イーストアールの射撃場でマーケティング責任者を務めるジェシカ・ケファーは電子メールで、「法律違反が起きたことで、プロ意識があり合法的な業界が罰を受けるのはフェアでない」と主張した。
「同社のポリシーは公正に適用されていない上、一貫していないため、非常にいら立ちを感じている。フェイスブックは広大な市場であり、その市場で広告を出せないことは、私たちのビジネスや業界にとって大きな弊害となる」
フロリダ州オキチョビーで射撃場を経営するジェフ・ウェイトは、フェイスブックやグーグルなどの企業が、銃器の販売や使用につながる“可能性がある”という理由で自分たちへ宣伝の機会を与えないことには納得できないと主張している。
「フェイスブックやグーグルは、世界最大級の銃器小売店であるウォルマートやバス・プロ・ショップスなどからは喜んで巨額の広告料を受け取っている。大金さえ積めば、両社の高いモラル基準は下がるらしい」
射撃場のオーナーたちが懸念しているのは、フェイスブックのポリシーが自分たちのビジネスに与える影響だが、小企業向け広告市場におけるフェイスブックのシェアや、同社が自らを公共の場とみなしていることを踏まえると、さらに深い疑問が生じる。
射撃場オーナーの権利は誰もが擁護したがるものではないが、フェイスブックがそうした事業の広告をブロックしているなら、それは言論の自由に関わる問題になり得ると指摘するのは、ジョージタウン大学マクドノー経営大学院のベッツィー・ペイジ・シグマン教授だ。
同教授は電子メールでの取材に対し、「フェイスブックは民間企業であるため、このような決定を下すことは確かに可能だ」と指摘。「しかし同社は検閲官のように振る舞うことで、公共の場での言論は誰が決定するのかという定義を拡大している。米国人の少なくとも約3分の2が何らかの形でソーシャルメディアからニュースを得ていて、その多くがフェイスブックからのものであるという事実がある。(出典:ピュー・リサーチ、2017年8月)」
シグマン教授はまた、フェイスブックの措置は多くのユーザーに不快感を与えるものではなく、米議会にソーシャルメディア規制を促すものではないかもしれないと指摘。「ザッカーバーグによる公聴会での証言を見てわかる通り、これは議員にとって厄介で難しい問題ある一方で、言論の自由やオープンな意見交換の弊害となっている。歴史的に見ても、どんなに状況が良かったとしても議会が変化の激しい業界を規制することは難しい」と述べた。