関係筋の情報によると、北京本拠の美団点評はクラスB新株の仮条件レンジを60〜72香港ドルとしていたが、69香港ドルでの公開が決まった。上場後の時価総額は534億ドル(約6兆円)に達する見通しだ。しかし、同社は今後数年の間は損失を出し続けるとアナリストらは見ている。
美団点評の損失額は2017年、前年比で3倍の190億人民元(約3010億円)に膨らんだが、売上は前年比約2倍の339億人民元だった。同社は市場シェア拡大のため、膨大な出費を行っている。目論見書によると美団点評は、今年1月から4月にかけ6億ドルをマーケティング費用に投じており、その額は前年度の3億8000万ドルから大幅に伸びた。
「膨大な宣伝費により収益が損なわれている」と、リサーチ企業Pacific EpochのSteven Zhuは話す。「だが、宣伝をやめればシェアを失うことになる」
美団点評は3億4000万人の利用者を抱え、フードデリバリーから配車事業、映画チケットの販売などを行っている。いわばグルーポンとウーバーと、ウーバーイーツが合体したようなサービスで、470万社の企業が参加。美団点評はここからコミッションや配達費を得ている。
しかし、売上の大半はフードデリバリーからきており、昨年の売上の62%を占めていた。調査企業Trustdataによると、美団点評は市場規模が440億ドルと推定される中国のフードデリバリー市場の54%を握っている。
だが、この分野では熾烈な値下げ合戦が起きており、アリババ傘下の「餓了麼(ウーラマ、Ele.me)」も膨大なマーケティング費用を投入。配車サービスの「滴滴出行(Didi Chuxing)」も4月にこの市場に参入した。
一方で、フードデリバリーの市場規模は中国の外食市場全体の10%にも満たない規模であり、新規顧客の獲得を狙う美団点評は、格安の食事で新規会員を同社のプラットフォームに囲い込もうとしている。
「巨額なマーケティング費用の投入は、今後も続いていく」と投資顧問企業MKMパートナーズのRob Sandersonは述べた。