そうしたツールの一つがインスタグラムだ。他者とつながり、自分を表現し、文化的な関与を維持するための手段だ。「Instant Telegram(即席電報)」という語源を見ると、取るに足りない存在に感じられるかもしれないが、実際は、はるかに大きなトレンドを論じる存在だ。
テクノロジーは、現代の高齢者がかつての高齢者と全く違って見える大きな理由の一つだ。ソーシャルメディアはその一翼を担っているにすぎない。
私たちは老いとテクノロジーへの嫌悪を結びつけることに慣れてしまったため、おばあちゃんたちがインスタグラムでうまくやっている姿を見ると、奇妙な光景を目の当たりにしているように感じてしまう。だからこそ、ニューヨークタイムズは特集を組んだのだろう。しかし、そうした結びつけは、過去の高齢者に対するものであり、これからの高齢者にはもう当てはまらない。
高齢女性はライフスタイルのリーダーだ
その特集に、説得力のある調査結果が載っている。50歳以上の女性を対象にした小規模な調査で、73%の人が「テクノロジーに関して、自分たちの世代が下に見られることが嫌だ」と述べている。さらに、60%の人が、テクノロジーは「魅力的」だと回答している。
筆者は長年、企業は高齢女性の需要にもっと積極的に応えるべきだと主張してきた。高齢女性はライフスタイルのリーダーであり、家庭だけでなく全世代の最高消費責任者でもある。
高齢女性は人口統計における1つの層として、考えられているよりはるかに賢く、活動的で、裕福だ。女性、特に中高年の女性には、以下のような事実がある。
・米国の財産の60%以上をコントロールしている
・消費者購買の約85%を占める
・健康関連の購買決定(医師を選ぶ、薬局に行くなど)の90%近くを担う
・全自動車購入の60%以上に影響を与えているか、直接関わっている
・家庭用コンピューターの70%近くを購入している
筆者の著書「The Longevity Economy(長寿経済)」第3章では、「未来は女性の時代」を証明する統計データをさらに示している。しかし、魅力的なおばあちゃんの写真は、1000の統計データ以上の価値を持つ。それこそが物語の力であり、世界に関する私たちの認識は物語によって形成される。彼女たちは特別な存在かもしれない。それでも、彼女たちは未来の暮らしについて普遍的な何かを教えてくれている。