そう予想する理由は明らかだ。コスタはすでに、中国国内に約450店舗を構えている。長期にわたって同国での事業を展開してきたコカ・コーラの存在とその潤沢な資金が加われば、コスタは今後、新店舗の開業をさらに加速させることになると考えられる。
スタバは現在、米国では市場の飽和という問題に直面しているところだ。ほぼいずれの地区でも近接する場所に店舗があり、互いの売り上げ奪い合う状態になってきている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、スタバとコスタが運営する店舗の数は、以下のとおりだ。
同紙はまた、米株式市場で強気相場が続くなか、スタバの株価が同業他社や株価指数をアンダーパフォームしていることも指摘している。
出所: Finance.yahoo.com(2018年8月31日時点)
中国市場に特有の難題
スタバは中国市場で急速に店舗数を増やし、その存在感を高めてきた。コスタも同様に、同国市場に進出している。人口が13億人を超え、平均所得が増加する中国はスタバをはじめとする外国企業にとって、非常に魅力的な市場だ。
だが、中国の消費者の“心と財布”をつかむことは、一見して考えられるほど簡単ではない。均質的ではない中国の消費者市場は、主に次の3つのセグメントで構成されている。
1. 高度にグローバル化
好みが先進国の消費者と類似。このセグメントに分類される顧客層は、香港、広州、深センを含む珠江デルタ地域、上海とその近隣都市を含む長江デルタ、北京・天津地域など東部に集中している。
2. 高度にローカライズ
伝統的な好みを維持。顧客層は中部~西部の地方部に集中すると考えられる。
3. 中程度にグローバル化
特定の好みを持つ顧客層が混在。これらの層は、主に福建省の福州、遼寧省の大連、山東省の淄博や青島、広東省の汕頭や恵州といった“メガシティ”に集中する。
中国の一部市場も飽和へ
スタバやその他の外国のコーヒーチェーンはこれまで、進出が容易な「高度にグローバル化された市場」で事業を拡大してきた。お茶を飲む中国人の習慣を、エスプレッソを好むように変えようと努力する必要がない市場だ。
だが、この市場にもまた、飽和状態が近づいている。どのコーヒーチェーンにとっても、市場の勢いを維持することは難しくなるかもしれない。
中国国内では、ビジネスモデルを大幅に変更することなく、その他2つのセグメントに食い込むことは極めて困難だからだ。いずれのチェーンもビジネスモデルを変えれば、スケーラビリティと収益性を大きく損なうことになる。
ただ、それでもアナリストの間には依然として、スタバの長期的な見通しに対する楽観的な見方もある。長期的に見れば同社は、世界中でライセンス収入を得て利益を上げることができる成熟した企業になると見込まれている。