米国のオンライン小売市場の“巨人”アマゾンのシェアは昨年、43.5%となった。消費者は膨大な数の商品を取り扱うアマゾンの品ぞろえと、迅速な配送サービスに信頼感を持っている。
市場シェアのトップ10に入るその他各社とアマゾンの間には、大幅な差がある。9社を“最大の競争相手”とするのは、適切な表現とは言えないだろう。ランキングを作成した米調査会社イーマーケター(EMarketer)によると、上位10社のシェアを合計しても、シェア全体の65%をわずかに上回る程度だ。2~9位の各社のシェアは、次のようになっている。
イーベイ(6.6%)、アップル(3.9%)、ウォルマート(3.7%)、ホームデポ(1.5%)、ベストバイ(1.3%)、QVCグループ(1.2%)、メイシーズ(1.2%)、コストコ(1.2%)、ウェイフェア(1.1%)
アマゾンが獲得した恐るべき水準の市場シェアは、今後さらに拡大する見通しだ。イーマーケターは、同社のシェアは今年、昨年から6ポイント増の49.1%に拡大すると予測している。今年のアマゾンのプライム会員向けセール「プライムデー」で販売された商品の数は1億点を超えており、売上高は34億ドル(約3770億円)以上と推計される。
さらに、アマゾンはどの商品分野でも、オンライン小売市場での優勢を保っている。特にコンピューター・電化製品は同社が扱う商品の中で売上高が最も多く、全体の4分の1以上を占める。次いで売上高が多いのは、衣料品・アクセサリーだ。書籍類を上回り、アマゾンの売上高全体の15.4%を占めている。
また、米国の衣料品オンライン販売の売上高に占めるアマゾンのシェアは、38.5%。米国のオンラインとオフラインを合わせた小売市場全体でのアマゾンのシェアは、およそ5%となっている。
競合各社が取るべき戦術
米国の小売各社にとっての課題は、アマゾンといかに戦っていくかということだ。だが、オンライン小売市場でのウォルマートその他のシェアが低い割合にとどまっていることは、各社が実店舗でのビジネスを維持するのと同時にオンライン販売事業を確立させるための方法を、いまだ見出せていないことを明示している。