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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

田中 仁(写真=若原瑞昌)

日本には現在、新しいイノベーションの担い手を育てるコミュニティが生まれている。そこには自ら変革を起こすリーダーたちと若者たちの起業家精神を育てる仕組みがあった。


「はじめから地域全体を巻き込みたいと考えていました。起業はもちろん、好きなことや、やりたいことに踏み出すチャレンジ精神の大切さを伝えたかったのです」と話すのは、「JINS」ブランドでおなじみのジンズの田中仁社長だ。

田中は、私財を投じて田中仁財団を創設し、2013年から起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)」を毎年開いている。

GIAでは、イノベーションという切り口で社会人や大学・専門学生、高校生が、起業やビジネスプラン、イノベーションの実績を競い合う。応募件数は年々増加し、17年の第5回には過去最多の185件に上った。最終審査に残った応募者が事業プランを発表するファイナルステージには、プレゼンターの応援団をはじめ、年代性別を問わず2500人が集まった。

注目すべきは、そこに来ている人たちだ。群馬県の大澤正明知事をはじめ、前橋市の山本龍市長ら行政関係者のほか、群馬経済同友会や県商工会議所連合会、県中小企業団体中央会などの経済団体、県内有力企業がそろうスポンサー企業社員ら、まさに「オール群馬」と言っていい顔ぶれだ。

17年は、食物アレルギー患者が安心して食事できる飲食店を探せるアプリの事業プランを発表した中央中等教育学校5年の奥谷哲郎さんが、高校生としては初めて、大賞を受賞。会場のヤマダグリーンドーム前橋は熱気に包まれた。

GIAに触発されて「岡山イノベーションコンテスト」をスタートした岡山県や、起業家育成のため田中がGIAとともに取り組む起業塾「群馬イノベーションスクール(GIS)」にならって同様の起業スクールを開講した石川県など、取り組みの輪が県外にも広がり始めている。脱毛患者用のシルク製ヘッドスカーフの開発や不妊症支援など、GIA受賞者やGIS受講生が実際に起業する例も出てきた。

田中がGIAを始めたきっかけは11年、世界の起業家が集う「EYワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」に日本代表として参加したこと。

田中は「各国の起業家と話すうち、世界の起業家は少し違う、と感じました。日本では、会社を大きくすることが社会貢献だと考える経営者が多数を占めます。しかし、欧米では、起業家自身が、個人として、どれだけ社会に貢献したかも重視されていました。それがきっかけとなり、自分の起業家としての経験を若手に伝えたいと考えました」と語る。

文=池田正史 写真=若原瑞昌

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