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AI通信「こんなとこにも人工知能」

metamorworks / Shutterstock.com

中国では、顔認識や行動検知技術など人工知能(AI)を使った犯罪捜査が一般化して久しい。当局との協力関係を築くことで、知名度や収益を爆発的に伸ばす企業も登場している。

「Face ++(旷视科技)」はその代表格だ。2011年に唐文斌氏らが設立した同企業は、いまや中国を代表するAI企業に成長。「Face ++」の顔認識技術は、これまで約5000人の指名手配犯を逮捕することに貢献したとされている。

中国の犯罪捜査でAIが威力を発揮するなか、韓国・ソウル市も人工知能をつかった犯罪捜査に乗り出すと発表した。ソウル市当局が摘発対象とするのは、違法な貸付けやマルチ商法、不動産の違法取引、商標権侵害行為など、韓国で「民生犯罪」(日本の消費者契約法違反に近いニュアンス)と呼ばれているカテゴリーである。

ソウル市は今後、SNSやブログなどから、違法、また違法性が疑われるオンラインコンテンツをリアルタイムで収集・保存し、それらのパターンを人工知能に学習させていく計画だ。AIを活用し通常投稿と違法行為を勧誘するコンテンツを分類することで、捜査官が特定のサイトを一つひとつ訪問する手間を省きつつ、膨大な量のコンテンツから捜査の手がかりを迅速かつ正確に発見するのが目的である。

日本でも同様だが、違法性のある韓国語のオンラインコンテンツは、ネットスラングや独自の表記、記号などが多用されており、従来の検索方法では発見が難しい。仮に発見できたとしてもネットは削除が容易なため、警察側が証拠を収集するのが困難で捜査が遅々として進まないという現状がある。

そこで今回、それら犯罪に使われる“隠語”とも言うべき独特な表現を探し出すアルゴリズムも開発される計画である。加えて、捜査を免れがちである「画像に組み込まれたテキスト」を抽出する技術も導入される。ソウル市は、今年の年末までに関連システムを構築し「人工知能捜査官」を本格的に導入するとし、目標とする違法コンテンツの分類精度を90%以上と説明している。

現在、米シカゴ警察や日本の神奈川県警、英ダラム市警などでも、犯罪捜査に人工知能が使用され始めていると報じられている。2017年8月には、その米・シカゴ市警察がサウスサイド地区で犯罪予測システムを導入し、「凶悪事件が激減した」という成果を発表した。ロイター通信によると、同年1~7月において、シカゴ全域で殺人事件が前年同期より3%増えるなか、この地域では発砲事件が39%、殺人事件が33%減ったというのだ。

AIによる犯罪の摘発は、人種や犯罪歴などの偏見に基づくリスクがあるという批判がある一方で、客観的な分析なため、人間の捜査官が判断するより公正という主張もある。今後、世界の警察当局にどう活用されていくのか。メリットとデメリットの双方に注目していく必要がありそうだ。

連載 : AI通信「こんなとこにも人工知能」
過去記事はこちら>>

文=河 鐘基

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