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グローバル・モビリティ・サービスCEOの中島徳至

これまで与信審査が通らなかったフィリピンの低所得者たちがなぜ、続々とトライシクル(三輪タクシー)を買えるようになったのか。その理由とは。


「これからまた大きな挑戦ができますね」

そう話すのは、グローバル・モビリティ・サービス(以下GMS)CEOの中島徳至だ。

GMSは6月8日、シリーズCラウンドで総額11億円の資金調達を発表。イオンフィナンシャルサービス、川崎重工業、凸版印刷、大日本印刷、双日、G-7ホールディングス、バイテックHDグループなど東証一部の大企業との資本業務提携を発表した。これまでのラウンドでも、ソフトバンク、住友商事、デンソー、クレディセゾン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、SBIインベストメントから出資を受けてきた。

非公表の大企業も含めると、これまで十数社にのぼる。

「調べてもらったら、これまでの日本のスタートアップのなかで、最も多くの大企業に資本参加していただいた」(中島)

なぜ、大企業らが中島率いるGMSに惹かれたのか。社外取締役を務めるグロービス・キャピタル・パートナーズの湯浅エムレ秀和は次のように評する。

「どの大企業とも競合にならない、ブルーオーシャン市場領域でのビジネスだからです。従来の金融にアクセスできなかった層を切り開いていますから」

GMSが掲げるのは「モビリティ×IoT×FinTech」の融合。そして「車を買えない世界の20億人を救う!」という壮大なゴールだ。同社は現在、「IoT×FinTech」でフィリピン、カンボジアの低所得者層、いままで与信審査に通らなかった層が自動車を購入できる仕組みをつくりだした。

中島は2013年に同社を創業した。そのきっかけは、以前、経営をしていた電気自動車(EV)開発会社時代に、目の当たりにしたフィリピンでの現実だ。

「フィリピンでは低所得者層が8割。彼らは車のローンやリースの与信審査に通りません。EVの普及で大気汚染問題を解決しようと思っても、まず車を買うための金融手段がない人たちが多い。世界を見てみたら、20億人もローン審査に通らない現実があることを知りました。支払い能力があっても与信審査が通らない層を対象にした金融をつくりたいと思ったんです」

ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)の新しい形。それを生み出したのが、同社の最先端技術を用いたIoT車載機器「MCCS」だ。

同端末を車に取り付けることで、携帯電話通信網により車のエンジン駆動システムを遠隔制御でき、GPSで位置情報の把握がリアルタイムにできる。それにより、車をローンで購入したドライバーからの毎月の料金支払いが滞った場合、MCCSを通してエンジンが動かないように制御できる。

ドライバーからの支払いがあれば制御を解除し、すぐに走行できるようにする。また、もしMCCSが取り外された場合、自動で遠隔制御が働き、位置情報とともにアラート情報がGMSに届く仕組みだ。こうしたスキームにより、これまで与信審査に通らなかった人にも車を提供できる可能性を増やしたのだ。

この記事は「Forbes JAPAN 2018年08月号」に掲載されています。定期購読はこちら >>

文=加藤智朗 写真=小田駿一

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