違うところがあるとすれば、かつての入植者たちよりさらにひどい、ということだ──。
アフリカの政治家の中には、中国をこのように見る人たちがいる。ザンビアの故マイケル・サタ元大統領も、少なくとも2011年に大統領に就任する前には、こうした考えを示していた。
サタ元大統領は2007年にハーバード大学で発表した論文の中で、次のように述べている。
「植民地時代の欧州による搾取は、中国の搾取と比べれば良性だと考えられる……植民地時代には、社会・経済基盤のための投資が行われていた。だが、中国の投資は地元の人々の幸福を顧みることなく、アフリカからできる限りのものを持ち出すことばかりに力を入れている」
アフリカは何年もの間、グローバル化の蚊帳の外に置かれてきた。低所得でインフラがなく、政情も不安定な地域とみなされていたためだ。だが、拡大を続けていた生産能力のために原材料とエネルギーが喉から手が出るほど欲しかった中国は、アフリカをグローバル化の流れの中に引き込んだ。中国政府の事業活動の優先順位において、アフリカ大陸は上海市のすぐ次に位置づけられた。
アフリカは中国政府にとって都合の良い、そして簡単に狙える標的だった。中国指導部は何年も続けて、アフリカ地域の全ての国の首都に財界の代表団を派遣。代表団のメンバーは各地でインフラプロジェクトを受注するなど、アフリカを中国にとっての“第2の大陸”に変えていった。
ハワード・W・フレンチは2015年に出版した著書「中国第二の大陸(China’s Second Continent)」の中で、当時の状況を次のように説明した。
「欧米諸国が冷戦後、アフリカに関心を向けてこなかったことを察知した中国政府はこの地域を、自国企業が国際ビジネスにおける最初の経験を積むのに最適な実験場だと考えた。当然ながら、原材料の埋蔵量がアフリカに集中していることも、中国にとって損にはならないことだった」
中国は当時、自国とその“第2の大陸”であるアフリカの間の貿易額が、2015年には3000億ドル(約44兆5000億円)近くに達するとの見通しを示していた。
アフリカの「主体性」を促進?
一方、全ての人たちが、「中国はアフリカを植民地化しようとしている」と考えているわけではない。カリフォルニア大学の李静君(Ching Kwan Lee)教授は、中国がアフリカで行ってきた投資について、「帝国主義的」でも「植民地主義的」でもないと明言している。
李教授によれば、中国企業は利益のために動いているのではなく、長期的な視野を持って投資を行っており、それらは地元市民の役に立っている。教授はまた、アフリカで事業を行っている中国企業で働く人たちはそれぞれの住む国で相応の額の税金を納めていると指摘。さらには中国企業について、アフリカに植民地主義に伴う依存性をもたらすのではなく、主体性と自治を促しているとまで主張している。
李教授が持つような考えは恐らく、中国に対して多額の債務を抱えるパキスタンやスリランカには伝えるべきではないだろう。中国によって“現代の植民地”にされる危険性が最も高いのは、これらの国だ。