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世界を目指す「社内発イノベーション」事例


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事業アイデアは思いがけないことがヒントになる時もある。かのピーター・ドラッカーも、イノベーションに対する最高の賛辞は、「なぜ自分には思いつかなかったか」と述べているように、同じものを見聞きしても、自身はやり過ごし、別の誰かは好機と捉えることなど往々にしてある。

今回紹介する事例は、まさに思いがけないことから生まれたサービスだ。

質のいい情報を効率的に集めて配信

今年1月26日、仮想通貨業者・コインチェックの「NEM」約580億円が不正アクセスにより流出した。史上最大の被害額を出したことで世界中のメディアが取り上げていたが、コインチェックよりも前に不穏な動きをキャッチしていた人物達はツイッターでつぶやいてた。

ここに着目したのが、電通国際情報サービス 金融ソリューション事業部 DXビジネスユニット デジタルイノベーション部 Startup Factoryの山下雄己氏だ。

仮想通貨市場取引は世界中で行われているが、自分1人だけで市場を俯瞰することなど不可能に近い。「情報過多でフェイクニュースも多いなか、日頃から何らかの動向をツイートし、フォロワーを多数抱えるインフルエンサーの発信情報なら信用に値するのではないかと思いました」

ブロックチェーンを活用したビジネスの実験を他社と行った経験から、ちょうど社会課題へのアプローチを考えていたという山下氏は、トークンエコノミーの発展のためにキュレーションを自動で行うアイデアと組み合わせることを思いつく。

早速パートナーのエンジニアと二人三脚でプロトタイプを1か月ほどで仕上げ、社内の新規事業レビュー検討会に持ち込んだのが、7月末から実証実験を開始している「CRYPTALS(クリプタルス)」だ。CRYPTALSは、Crypto Currency(仮想通貨)とFundamentals(経済の基礎的条件)を組み合わせた造語で、仮想通貨版ブルームバーグやロイターを目指し名付けられた。


CRYPTALSの画面(電通国際情報サービス提供)

同サービスの特徴は「質のいい情報を早く届けること」。グーグルがウェブサイトの評価軸として用いていたページランクを活用し、ツイッターのフォロワー数やインフルエンサーがフォローしている先などをAIで自動収集。さらに投稿時のポジティブ・ネガティブの感情も分析し、ビジュアル化。ここまですべてを機械的に行っている。

「おおいにやれ」が後押し

とはいえ、これまでの道のりが順風満帆だったわけではない。入社時から一環して新規事業に挑戦していたが失敗続き。CRYPTALSも前述した新規事業レビュー検討会で企画が通るも、一緒に進めていたエンジニアが途中で離脱。専門外の膨大な量の業務を1週間で引き継ぐことになった。

加えて、法の確認や関連部署との調整など、クリアすべき課題が山積みとなり、公開も後ろ倒しに。システムインテグレーターとしての動きも既存事業とは異なった。一人で何役もこなさねばならず、抱え込む時期もあった。新規事業は簡単にいかないことを痛感した。

文=木村忠昭

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