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金融から紐解く、世界の「今」

sdecoret / shutterstock

前回のコラムでは、ブロックチェーンや分散型台帳技術を通貨に応用する場合の本質的問題である「スケーラビリティ」について書かせて頂いた。一方で、このような分散型技術の応用が有望視されている分野もある。すなわち、「スケーラビリティ問題」が深刻にならない規模のネットワークへの活用であり、現在、貿易金融や、宝石・絵画などの所有履歴の管理、患者のカルテの管理などへの応用が検討されている。

同じような性格を持つネットワークとして、各種の「連盟」や「協会」への応用も考えられるのではないだろうか。

最近、スポーツを巡る「連盟」や「協会」のニュースが世の中を賑わすことが多い。これらの連盟や協会も含め、そもそも「組織」がなぜ存在するのかは、かねてからロナルド・コースのような有力学者が取り組んできた、経済学上の大きなテーマであった。

この問いに対する経済学の標準的な回答は、平たく言えば、「問題を市場で解決するよりも、組織で解決する方が安上がりな場合があるから」となる。例えば、クルマが欲しい時に、個人がデザイナーやエンジニアや熟練工と個別に契約し、必要な部品を全て市場で買い集めて組み立てるのはかなり大変であろう。したがって、殆どの人はクルマを自分で作らず、自動車企業の作ったクルマを買っているわけである。

もっとも、さまざまな問題を、「市場で解決するのと、組織で解決するのと、どちらが安上がりか?」という問いへの答えは、その時々の技術水準によって変わり得る。

例えば、UberやAirbnbのようなシェアリングエコノミーやeコマースでの個人間売買は、情報技術の進歩に伴い、従来は「組織」によって行われていた輸送や宿泊サービスなどの提供が、「市場」によって代替されつつあるとみることもできる。同じように、以前は企業でなければ作ることが難しかったパソコンも、今では個人が好みの部品をネットで買い集めて作ることが、より容易になっている。

このように、かつては必要とされた組織も、技術進歩に伴い、どうしても必要なものとは言えなくなってくる。

一方で、パーキンソンの法則が示すように、「組織」はいったんできてしまうと、その後の技術進歩にかかわらず、組織の存続自体を自己目的化しがちであることも良く知られている。だからこそ、「本当は無くてもよい組織が過剰に存在しがち」という問題も、世界共通なのである。

文=山岡浩巳

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