インテリアメーカー以外の出展が増えつつあるミラノサローネ。近年は時計メーカーの参加も増えているが、今年は「グランドセイコー」もその一員となった。会場に選んだのは、デザインの殿堂であるトリエンナーレ美術館だ。
「2017年に独立ブランドとなったグランドセイコーが、今後ラグジュアリーセグメントを伸ばしていくことを考えると、当然デザインの力が大切になってくるでしょう」と語るのは、セイコーウオッチ代表取締役社長の高橋修司。
ミラノサローネの参加は、彼の肝いりのプロジェクトだった。
「機能面、性能面の評価が先行しているグランドセイコーですが、それ一辺倒では先がない。グランドセイコーは手作業で行うケースの研磨や針のダイヤモンドカットによる視認性の向上など、“機能がデザインに直結”しており、それが大きな特徴になっています。こういった感性的な日本の美意識が、グローバルマーケットでも興味を持たれるようになり始めていました」
(左)グランドセイコー「SBGA211」、(右)セイコーウオッチ代表取締役社長 高橋修司
そもそもスイスブランドが圧倒的な勢力を持っている高級時計業界において、日本のグランドセイコーは、それだけでもユニークな存在である。しかしその実力は高く評価されており、14年には権威あるジュネーブ時計グランプリにて「プティット・エギュィーユ部門」を受賞したという実績もある。
細部にこだわる日本の美意識は、実は海外でも評価される、新しい強みとなっているのだ。「
世界最大の時計と宝飾の見本市であるバーゼルワールドには、1986年から参加しています。しかしこちらはあくまでもビジネスの場。一方でグランドセイコーが持っているデザイン力や商品哲学、そして伝統を、感性豊かな人々にアピールするためには、ミラノサローネが最適だったのです」