Close

PICK UP

.

ニラブ・モディ(Photo by Aniruddha Chowdhury/Mint via Getty Images)

まるで幼い子どものような頬と、チェシャ猫のような笑顔がトレードマークの宝石デザイナー、ニラブ・モディは、温かくもどこか人間離れした魅力を持っている。だが、最近は母国インドで起きた史上最大級の銀行詐欺事件の主犯として名指しされ、海外で逃亡生活を送っている。パンジャブ・ナショナル銀行(PNB)に対する詐欺による損害額は18億ドル(約2000億円)以上で、その額は今も増加中だ。

宝石商人から瞬く間に宝石デザイン界の頂点に上り詰め、フォーブスの億万長者ランキングに入ったこともあるモディの独創的な作品は、オークションで数百万ドルの値が付くものばかり。だがモディに対しては各国の捜査の手が迫っており、彼はすぐに、その包囲網を振り切るため自身の魅力と商才を総動員することになるだろう。

国際刑事警察機構(インターポール)は今月2日、インドの中央捜査局(CBI)の要請に基づき、マネーローンダリング(資金洗浄)の容疑でモディに対する赤手配書(レッドノーティス)を発付したことを公表した。これにより加盟192カ国の警察当局はモディを拘束し、インドに送還できるようになった。モディは欧州各国、特に英国で大半の時間を過ごしていると考えられており、逮捕の判断は欧州各国の警察当局に委ねられている。

CBIは、PNBのスキャンダルの主犯として、モディとそのおじのメフル・チョクシの名を挙げている。捜査当局によると、同事件では巧みにローンの内容が改ざんされ、PNBから不正に入手された信用状と確約証を基に、ドバイと香港の多数のペーパーカンパニーに対し数百万ドルもの与信枠が設定された。不正に組まれたローンはその後、ペーパーカンパニーを通してモディとチョクシの元に集められたとされる。

米紙ニューヨーク・タイムズは4月、モディの弁護士のビジェイ・アガワルが取材に対し、この件は民事事件であり、関係する金額は当局が計算した18億ドルではなく、実際は約4000万ドル(約45億円)だと説明した。アガワルはモディの詐欺疑惑を否定し、インド政府が彼の名誉を傷つけていると主張した。

しかし、本件が刑事事件として立件された2018年2月の数週間前に、モディとチョクシは行方をくらました。2人は米国で破産を申請し、従業員を大量に解雇。また、世界中の系列会社を閉鎖し、防御体制を固めている。

英国当局は、モディが少なくとも3月以降、国内に滞在していることを認めている。モディはスキャンダルを受け出国した際、複数所持していたパスポートがインド政府によって無効とされたが、その後もニューヨークやロンドン、香港などに出没したという情報が伝えられている。これは、彼がその悪名高き魅力を、出入国の際に毎回フル稼働させていると考えて良いだろう。

編集=遠藤宗生

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

あなたにおすすめ

合わせて読みたい