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シネマ未来鏡

WTA設立者のビリー・ジーン・キングを演じたエマ・ストーン(左)とキング夫人本人(右、Photo by Samir Hussein/WireImage)

大阪府出身のテニスプレーヤー、大坂なおみ選手が今年3月、WTAツアーのインディアンウェルズ・マスターズで優勝して話題をさらったが、この「WTA」というのは 「Women’s Tennis Association」のことで、日本では「女子テニス協会」と訳されている。

WTAは1970年にアメリカのテキサス州ヒューストンで創設され、いまや全世界の女子プロテニスを統括する団体として、各トーナメントをカテゴライズしてポイントを設け、選手の世界ランキングを決定している。ちなみに、先の優勝で大坂選手はWTAのランキングを44位から22位に上げた。

さて、このWTAを設立したのが、今回取り上げる映画の主人公、ビリー・ジーン・キング、通称キング夫人だ。1960年代から80年代まで4半世紀にわたってトップ選手として活躍し、その間、全英をはじめとする4大大会で優勝すること12回。まさに超一流のテニスプレーヤーでもあった。

そのキング夫人たちが、女子テニスの団体を立ち上げたのには訳があった。70年前後、当時は全米テニス協会に所属していた女子選手たちだったが、賞金は男子の8分の1、男女の賞金格差が大きな問題になっていた。

折から70年代初頭から巻き起こっていた男女同権運動にも深く関わっていたキング夫人は、仲間を募り、全米テニス協会から独立。たばこメーカーのフィリップモリス社をスポンサーにして、女子選手のプロテニスツアーを「創業」する。キング夫人は、いわばテニス界のアントレプレナーでもあったのだ。

前置きが長くなったが、映画「バトル・オブ・セクシーズ」は、そのビリー・ジーン・キングの「闘い」を描いた作品と言ってもよい。もちろん、劇中では、男子ツアーから独立して、ゼロから女子ツアーを立ち上げるキング夫人たちの「バトル」も描かれるのだが、クライマックスを盛り上げるのは、その名も「バトル・オブ・セクシーズ(性別間の戦い)」、女子選手と男子選手が戦うテニスの試合だ。

男女同権運動の機運にも乗り、順調に女子テニスツアーをスタートさせたキング夫人に、自ら「男性優位主義者」を公言する、かつてのウィンブルドンのチャンピオン、ボビー・リッグスが挑戦状を叩きつける。


伝説の一戦に挑んだビリー・ジーン・キング(右)とボビー・リッグス(左、1973年9月20日撮影、ABC Photo Archives)

29歳の女子世界チャンピオン vs. 引退した55歳の元男子世界チャンピオンの闘い。1973年9月、ヒューストンのアストロドームで行われた、全世界で9000万人の目を釘付けにした世紀の対戦が、劇中では最大の見どころとなっている。

文=稲垣伸寿

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