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オトコが語る美容の世界

Sergey Nivens / Shutterstock.com

2020年のオリンピックに向け建設が進む新国立競技場の近くをよく通る。そのたび偉容は明らかになり、すでに工事は最上階まで進んでいる。あらためて日本の建築技術の高さに驚かされ、近くで見るだけでも時代の鼓動を感じ、興奮してしまう。

立派な建物を目にすると、ついつい写真を撮りたくなるものだ。新国立競技場をおさめるお勧めの撮影ポイントは、近くにある東京体育館(1954年に完成、90年に改築オープン)で、そこからは工事現場全体が一望できる。

ところで、戦後日本の飛躍と成長は、64年の東京オリンピックと70年の大阪万博によるところが非常に大きい。大阪万博は全国民の2人に1人は見た計算で、世界の博覧会でも初の黒字万博だったという。ただあまりに人が多く、万博のテーマであった「人類の進歩と調和」どころか、「人類の辛抱と長蛇」だったと、祖母が笑って語っていた記憶がある。

美容と建築をシンクロさせた未来型店舗

大阪万博でひときわ目立っていたのが、建築家・黒川紀章の作品だ。「東芝 IHI館」と未来の美容室と銘打った「タカラ・ビューティリオン」である。どちらも、黒川たちが提唱してきたメタボリズム建築のコンセプトでつくられたもので、小さなユニットが細胞のように増殖していく未来型建築だった。

そのうちのひとつ、タカラ・ビューティリオンは、大阪に本社を置くタカラベルモントのブース。同社は美容サロンの椅子や歯医者の椅子などをはじめ、理美容機器、化粧品、医療機器などの製造・販売を行う会社で、現在もこの分野では日本一のシェアを誇り、海外にも進出している。

当時タカラベルモントは、創業40周年を記念して、「国営」とも言える東芝のブースに匹敵するものを考えたらしい。そうして作られたタカラ・ビューティリオンには、レーザー光線や無線の設備が設置され、環境音楽や各国の言葉が聞こえる美容ブースができていたそうで、当時の写真をみるだけでもワクワクする。

とても半世紀近く前とは思えない、いまでもじゅうぶん興味を引く先端技術とデザインの集合体である。しかもこのブースはたった1週間ですべて完成したらしい。見に行った祖母は、未来の建物の入り口で、なぜか割烹着で大根の漬物を売る屋台が出ていたのが気になったそうだ。

文=朝吹大

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