ビジネス

2018.06.14

優秀な人でも闘わなければいけない5つの恐怖

L.Ovdienko / Shutterstock.com

高い業績を上げる人たちは、心地の悪い状況でも平常心を保つ。他の人なら諦めるような状況であっても前に進むには、大きな勇気と知性、そして心が必要とされる。心得のある人は、人生が直線ではないことを承知していて、溝にはまってしまったとしても、不確定さの嵐を乗り切り、新たな道が開けるまでしのぐ意志を持っている。

私のコーチング業のクライアントに、高給取りのファイナンスアドバイザーから起業家へ転身し、次の収入はいつになるのかとストレスを感じていた女性がいる。ファイナンスアドバイザー一筋のキャリアを築いてきた彼女はこれまで、経済的な安定性やビジネス開発、家族を養う方法を心配することはなかった。しかし起業家となった今、大きな不安に襲われていた。

彼女がその後すぐに悟ったのは、問題がなくなることはなく、ただ改善するだけだということ。彼女には2つの選択肢があった。起業家として、望んでいた通りの自由を得ながら(もちろんストレスも抱えながら)模索を続けるか、9時5時の仕事に戻って安定性を得ながらも惨めな思いをするか。それから4年がたった今、彼女にはビジネスチャンスが殺到し、助手を雇う必要があるほどだ。

優秀な人は、恐怖には以下の2種類があることを理解しているため、恐怖から逃げようとはしない。

・良い恐怖……車が行き交う横断歩道には足を踏み入れるな、と教えてくれる恐怖心。
・悪い恐怖……自分の能力を示す証拠がないのできっとうまくいかないに違いない、という心の声。つまりは、自分が自分の邪魔をしている。

優秀な人は、ネガティブな心の声を抑え、自分で自分の邪魔をしないためにはどうすればいいかを知っている。現実と作り話(例えば自分に言い聞かせる言い訳)の違いを自覚しており、作り話だった場合は自分自身の言葉でそれを書き換える。

以下は、リーダーシップコーチである私が不必要だと考える5種類の恐怖だ。これらの恐怖に立ち向かえば、平凡な人材も優秀な人材へと鍛えられる。

1. 不確実性

優秀な人は、不確実性を回避すべき限界線とはみなさず、まだ開拓されていない未知の領域だと考える。トップアスリートによるメンタル戦略を採り入れ、不確実性を受け入れる。精神面での行動計画を持つことが、財務計画やビジネスプランと同じくらい重要であることをわかっているからだ。

2. 間違うこと

優秀な人は、誰が正しくて誰が間違っているかということは気にしない。気にするのは「真実」のみ。真実が結果につながることを理解しているからだ。エゴが前面に出ると、自分を超えた視点を持てず、自分自身が問題の一部となってしまう。

3. 不安

変化は不安を呼ぶ。人は普通から少し外れただけで不安に襲われるものだが、一方で優秀な人は、即座に安定した状態へ戻るような行動はとらない。その代り、その不安の原因を冷静に分析し、その状況がどんな利益につながり得るか(あるいは利益にならないか)を判断する。

4. 拒絶されること

人間は社会性を持つ生き物で、社交を好み、承認欲求を持ち、他人から好かれたいと思うもので、周囲から受け入れられないと苦痛を感じる。優秀な人は、そうでない人と違い、誰かから拒絶されたとしても、その原因が必ずしも自分にあるとは限らず、相手側にもあると認識する。相手には人生で何かが欠けており、それを補うために自分に対して過度に批判的になったり厳しく当たったりしているのだ。そのため優秀な人は、誰かから拒絶されても動じない。多くの場合、問題なのは自分の問題の捉え方であることを分かっているから。

5. フィードバック

周囲からの批判と似たものとして、フィードバックがある。人は誰もが意見を持っているため、他人について判断する行為は習慣的なプロセスだ。それに対し、フィードバックはより不自然な行為だ。フィードバックのやり取りは、多くの人にとって心地の悪いものとなり得る。だが、優秀な人が自ら積極的にフィードバックを求めるのに対し、そうでない人は受け身でフィードバックを待つ。優秀な人は、フィードバックなしには軌道修正ができないことを理解している。そして、軌道修正なしには優秀であり続けられないことを知っている。

リーダーシップコーチとしての私の経験では、人はモチベーションに欠けるのではなく、明晰さに欠けている。恐怖に対峙(たいじ)することで得られるポテンシャルをはっきり認識した時こそ、心地よくない状況を気に留めないようになり、優秀な人となれるのだ。

編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事