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アドテク、企業、ベンチャーキャピタルやニューヨークのベンチャー企業について執筆するスタッフライター

OpturaDesign / Shutterstock.com

米国のユタ州発の経営管理プラットフォーム企業「Domo(ドーモ)」が6月1日、上場申請書類(S-1)を提出した。ユタ州からは企業価値10億ドル超えのユニコーン企業が続々と誕生しIPOも相次いでいるが、Domoの業績には懸念材料も多い。

Domoの創業者は2009年に「Omniture」をアドビに18億ドル(約1980億円)で売却した、現在44歳のジョッシュ・ジェームス(Josh James)だ。Domoは現在1500社以上の企業顧客を抱え、そのうち385社が売上10億ドル以上の企業だという。

同社の売上は順調に伸びているが、現状では黒字化は遠い道のりだ。Domoの2017年の売上は1億850万ドルだったが、損失は1億7660万ドル(約193億円)に達している。直近の四半期でDomoの売上の21%が海外からのものだが、前年同期の比率は17%で、この部門の成長も鈍化している。

最大の懸念事項といえるのが、創業以来のDomoの累積損失額が8億330万ドル(約880億円)に達し、現金不足に陥りかけていることだ。S-1書類によると同社の手持ちのキャッシュは7190万ドルで、現在のバーンレートからみると6カ月以内に現金が底をつくことになる。

Domoが上場を果たした際の市場の反応は、今後の他のテック企業のIPOの動向を予測するうえでも重要な指標になりそうだ。企業価値が20億ドルと伝えられるDomoはこれまで、他のユタ州のユニコーン企業を大幅に上回る額の資金を調達してきた。

Domoの発行株式の80%は既存出資元の「Institutional Venture Partners」や「Benchmark」「BlackRock」「GGV」らが保有するクラスB株が占めている。しかし、残りの20%を創業者のジェームスのクラスA株が占めており、彼は累計6億9000万ドルという巨額の資金を調達しながらも、会社の支配権を完全に握っている。

創業者は「シリコンスロープ」の名付け親

フォーブスの「クラウド100」で15位に選出されたDomoが、上場によりさらに大手企業にアプローチしようとする意思は明確だ。2016年にジェームスは、競合の上場企業「Tableau」に対する敵意をむきだしにし、Tableauのカンファレンス会場のそばでラッパーのスヌープ・ドッグらが出演する無料コンサートを開催して話題を呼んだ。

ユタ州生まれで地元のブリガムヤング大学を卒業したジェームスは、1996年にOmnitureを設立した、ユタ州のテックシーンを代表する起業家だ。彼は今から10年以上も前に、ユタ州をシリコンバレーになぞらえて「シリコンスロープ」と呼びはじめたことで知られている。

財政状況には懸念材料を抱えるDomoだが、それでもなお同社が「Dropbox」や先日、上場を果たしたITスキル管理ツール「Pluralsight」らと並んでIPOで成功を収める可能性は残されている。

同じくユタ州生まれのPluralsightは上場初日の株価が33%の値上がりとなり、現在の時価総額は29億ドルに達している。また、ユタ州からはリサーチ用ソフトウェアを開発するクアルトリクス(Qualtrics)の上場も期待されている。

編集=上田裕資

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