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2018.06.01 10:00

「花火大会=無料」はもう古い 小橋賢児らが挑む伝統文化のアップデート

5月26日に開催された「STAR ISLAND」の様子

日本の伝統文化「花火」をアップデートする──。

ライトアップされたレインボーブリッジを背景に、海辺に輝く大輪の花火を見ながらビールを一杯。重低音の効いた3Dサウンドと幻想的なライティングに包まれた空間は、人間の五感全てをひらかせてくれる。

2018年5月26日、未来型花火エンターテインメント「STAR ISLAND 2018」がお台場で開催された。これは3Dサウンドと1万2000発の花火が連動し、さまざまなジャンルのアーティストがパフォーマンスを行うイベント。今年で2回目の開催となる。

花火大会は無料で参加するもの。そんな認識があるにもかかわらず、最も低い価格で8000円、高いものは5万円(1シート4人掛け)もするチケットは事前販売で開催10日前に完売。当日は1万5000人が足を運び、イベントは好評のうちに幕を閉じた。

STAR ISLANDを手がけるのは、LeaRの小橋賢児と、エイベックス・エンタテインメントの坂本茂義。これまでDîner en Blanc Tokyo、ULTRA JAPANなど数々のイベントで話題を呼んだ。そしてイベントの目玉である花火を打ち上げるのは、1864年の創業から長らく日本の花火文化の基礎を築き、国内・国外のイベントに携わってきた丸玉屋小勝煙火店の小勝康平。

最先端技術と伝統文化をコラボレーションされた、イベントの舞台裏とは。そして、彼らがこのイベントに懸ける思いとは。誕生の経緯から今後の展望を本番直前に聞いた。


(左)STAR ISLAND統括プロデュース 坂本茂義 (中央)STAR ISLAND総合プロデュース 小橋賢児 (右)STAR ISLAND花火演出 小勝康平。

「伝統文化」を今の時代にアップデートする挑戦

──まず、2回目のSTAR ISLAND、手応えはいかがだったでしょうか?

小橋:1回目よりもプレッシャーが凄かったですね(笑)。どうすれば昨年よりもいいものを創れるのか。より最高なものを求め、自問自答しながら、ときに仲間、チームとも言い合いになりながら、ここ数カ月はこの日のためにみんなで力を合わせてやってきました。1万5000人に足を運んでいただき、楽しんでいただけたのは良かったですが、STAR ISLANDはまだ2歩目を踏み出したところ。

人間の年齢で言えば、2歳になっていないくらい。まだ、よちよち歩きの状態です。やりたいことは無限にあります。今はまだ成功、失敗を語るフェーズではなく、もっともっとやれることがあるな、と感じた2回目でしたね。

──小橋さんは世界最大級の音楽イベント「ULTRA MUSIC FESTIVAL」の日本上陸の立役者として知られています。STAR ISLANDを立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか?

小橋:一言で言えば、違和感ですかね。昨今、協賛金が集まらない、人手が足りないといった理由から中止になる花火大会が増えてきています。

そうした状況を受け、世間では「日本の伝統を守ろう」という声が挙がっているのですが、僕はこう思うんです。伝統を「守る」だけでいいのか、と。守っているだけでは何も変わっていかないという思いがありました。
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文=野口直希 写真=若原瑞昌

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