戦略的思考ができない場合は人事評価で注意されることが多いが、残念なことに「どうすれば戦略的になれるのか」といった情報はほとんど与えられない。戦略的に考えるには、会社がどのように将来を切り抜けるかについて長期的な視点が必要になる。戦略的思考の根幹にあるのが、異なる議論を比べる「批判的」思考力だ。
教育テック企業、マインドエッジ・ラーニング(MindEdge Learning)による新たな調査結果が問題なのも、こうした事実が背景にある。同調査では、18~31歳までの若い人材は自分の批判的思考力に自信を持っていた。しかし、デジタル読解力と批判的思考力を測るための9つの質問から成る基本テストに合格できなかった人は52%に上った一方で、最低8問に正解して「A」の評価を獲得したのはたったの19%しかいなかった。
対照的に、調査対象者の4分の3は、大学での経験により社会に出る準備ができたと答えていた。また、34%は「コンピューターのプログラミングや情報技術(IT)、分析のようなハードスキルにとても自信がある」と答えた。
それに加え、回答者の3分の2はソーシャルメディアからニュースを得ていると答えた。回答者の多くが自分の批判的思考力に自信を持っているにもかかわらず、自分が受け取る情報の正確性を知ることができると自信を持っていたのは40%にとどまった。
つまり、若い人は量的スキルは持っていても、データの示す意味について十分に情報を集めた上で決断する質的な能力を持っていないのかもしれない。これは仕事だけでなく、人生の決断においても課題となる。
しっかりした判断を下す能力は成功の基盤だ。若い優秀なアナリストが、発見したデータの違いを見分けられなければ、正しい報告書を作ることはできない。そのような報告書には、より上の管理職が評価に必要とする情報に欠けているはずだ。それは、アナリストがその情報の重要性に気づかなかったためだ。