ネットフリックスを猛追のHulu「スポーツ中継」が強みに

(Daniel Krason / Shutterstock.com)

Huluの米国のユーザー数が2000万人を超えた。エミー賞の主要5部門を制覇したオリジナル作品「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」などの人気もあり、会員数は2017年第4四半期から約18%増えた。競合のネットフリックスの米国会員数は約5500万人となっている。

ニュースサイト「Variety」によると、Huluはネットフリックスからドリームワークス作品の独占配信権を奪い、過去の作品に加え2019年からは新作も配信できることになった。ドリームワークスはこれまでネットフリックス向けに「シュレック」や「ヒックとドラゴン」、そして「ボス・ベイビー」などの人気キャラクターを使って番組を作ってきた。ネットフリックスはドリームワークスとの2013年の契約で、5年間にわたり15億ドル(約1636億円)をドリームワークスの作品に投じると宣言していた。

今後、Huluはケーブルテレビと同じ時間帯に「Trolls 2」などの新作も配信できる。ケーブルテレビに対して強力なライバルになると言えるが、Huluの株主はケーブルテレビの株主でもあるため問題はない。

Huluはストリーミングだけでなく生番組を配信することでアメリカでの成功につなげてきた。Huluでは株主のディズニーやFox、NBCなどの番組も視聴できる。

一方でネットフリックスは生放送を避けてきた。スポーツのライブ配信を行えばユーザー数を増やせるがスポーツ番組はコストが高く、仮に配信が始まったとしても別料金になるか月額利用料の引き上げが必要になる。

しかし、アマゾンプライムも生放送を行っているため、ネットフリックスもいずれは生番組に参入する必要があるかもしれない。問題はテレビ局がどう反応するかだ。Huluのように株主が同じではないため、CBSやNBCなどがネットフリックスに番組を提供するとは考えにくい。

ドリームワークスとの契約に関しては、ネットフリックスにとっては大きな痛手にはならないだろう。だが、ディズニーとマーベルのコンテンツもいずれ配信できなくなる可能性が高い。ディズニーは独自のストリーミングサービスを展開すると見られるからだ。

何かを1つ失うことは大した問題ではないが、それが続くと厳しくなってくる。しかし、それはアメリカとカナダだけの話だろう。Huluはネットフリックスやアマゾンと同じ規模で、世界でサービスを展開しているわけではない。世界に目を向ければ1億1700万人の有料会員を持つネットフリックスが、依然として王者なのだ。

編集=上田裕資

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