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I write about achieving wealth and how it intersects with our lives.

バーバラ・ブッシュ(Photo by Tom Pennington/Getty Images)

バーバラ・ブッシュの訃報を受けて、感慨を覚えた米国人は多い。親しみを込めて「シルバー・フォックス(銀ギツネ、魅力的な白髪の高齢女性を意味)」と呼ばれた元米大統領夫人は、米国の子供の教育と識字率の向上を支援してきた。

彼女は40年以上にわたって米政界の第一線で活動してきた一家の“家長”だった。支持政党に関わらず、米国民の多くにとって彼女を失うことは、家族の一人を失うようなものだ。バーバラが過ごした人生の最後の日々とそこに見られる品格について、多くの人は自らの遺産計画に関連づけて考えてみるべきだろう。

自身がどのようにこの世に別れを告げるかという問題についても、バーバラは自ら管理していた。その意思は、「医療事前指示書」を通じて示されていたと見られる。彼女は充実して暮らし、十分な準備を整えた上での死を迎えた人物の好例だ。

米国人と遺言

バーバラの例は、大半の米国人が迎える死とは著しい対照をなしている。大統領とその夫人としての役割から、ブッシュ夫妻は人生について、計画を立てる必要があった。それは国の問題でもあるからだ。医療事前指示書の作成は、不可欠だった。

治療や緩和ケア、葬儀に関する自らの希望を家族と医療関係者、法律の専門家らに伝えるための医療事前指示書は、遺産計画の中でも特に重要な文書だ。だが、一般的な米国人は、自らの死をどのように捉えるかについて十分に計画していない。ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院の研究機関が2017年に行った調査では、医療事前指示書を作成している人は、わずか29%だった。

もう一人の故大統領夫人

故ジェラルド・フォード元米大統領の夫人、ベティ・フォードもまた、遺産計画を通じて自らの最後の願いを明確に伝えた一人だ。

弔辞が自らの政治的声明となることを望み、事前にジャーナリストのコーキー・ロバーツに文書の作成を依頼。米政界でどれほど党派心が高まり、それが米国にどれほど悪影響を及ぼしているか、具体的に訴えてもらいたいと希望した。1960~70年代のワシントンについて語り、当時の政治家たちがどれほど協力し合って仕事を進めてきたかを伝えたいと願ったのだ。

葬儀についての要望は、詳細には話し合われていないことが多い。だが、情報が十分でなければ、残される家族は故人の願いについて推測し、判断するしかない。最後に明確に意思表示をしておきたいと考えるなら、葬儀の終了後まで誰も見ない可能性がある遺言やトラスト(信託)ではなく、医療事前指示書や家族宛ての手紙の中に、その具体的な内容を明記しておくべきだ。

尊厳を持って意思を示す

スタンフォード大学医学部が行った緩和ケアに関する調査によれば、米国人の80%以上が自宅で死亡することを望んでいる一方、実際にそれをかなえることができる人は20%にすぎない。米国人のほとんどは、病院や介護施設で亡くなっている。

バーバラ・ブッシュの最後の日々は、医療事前指示書を作成していた場合の死の例として、興味深いものだ。患っていた慢性閉塞性肺疾患(COPD)とうっ血性心不全の治療の中止を決断したのは、彼女自身だ。そして、最後の時を快適に過ごすために、自宅に戻った。

亡くなる前の数日間は、ずっと家族に囲まれていたという。72年間連れ添った夫のジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領がベッドサイドに座って手を取り、バーバラは安らかに過ごした。最後にはバーボンも飲んだという。

自宅で人生を終えることが、ぜいたくなことであるべきではない。尊重され、実現されるべきことだ。

編集=木内涼子

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