会計監査事務所「RSM」の分析によると、イギリスで新規に設立されたテック系企業の数は前年比60%増となっている。企業登記局のデータによると、2017年には1万16社のソフトウェア開発及びプログラミング関連の企業が登記された。2016年は6300社だった。
2017年に起業されたテック系スタートアップの40%がロンドンに本拠地を置いている。同年、ロンドンに本社を設けた新たなテック系企業は4238社で前年比76%増だった。英国の南東部では1296社で40%増、3番目にテック系ビジネスの新設が多かった北西部は前年比29%増の707社だった。
RSMでテクノロジーチームを率いるDavid Blacherは、EU離脱によるリスクがあるなかで起業が増えた理由は複数あると分析する。
「国民投票後に起業が鈍る恐れがあったが、イギリスのテクノロジー分野は非常に活気があり、驚くほどの成長率を見せている」と言う。
「その理由は複数あり、1つは英国の大学が優れた人材を育てていることだ。イギリスの中でも特にロンドンには世界中から優秀な人材が集まっている。起業家たちは従来の方法で比較的低金利で融資を受けたり、ベンチャーキャピタルからも出資を獲得している」
RSMの分析は政府がテックセクターに力を入れていることも証明した。英国のフィリップ・ハモンド財務大臣は3月に「イギリスでは1時間に1社のテック企業が設立されている」と発言していた。
EU離脱の逆風が近づくなかで、政府は支援を続けていくべきだとBlacherは言う。
「イギリスの税制もテック企業の設立を強力に後押しするものとなっている。エンタープライズ投資制度や研究開発税控除、パテントボックス制度、ビデオゲームをめぐる優遇税制や振興プログラムなどが活用されている」
一方で懸念事項も見えはじめている。EU離脱の移行期においては引き続きEU諸国から働くために渡英することが許されるが、長期的な方針はまだ決まっていない。