大型出資続出の宇宙ビジネス、東レも1200億円で海外企業を買収

(Photo by Joe Raedle/Getty Images)

民間の宇宙系スタートアップが2018年の第1四半期に10億ドル近い資金を調達したことが、ベンチャーキャピタル「Space Angels」の調べで明らかになった。1~3月で20件の投資案件が成立し、総額は9億7579万9660ドル(約1044億円)にのぼった。

その大半を得たのが「スペースX」で、テッククランチによると「フィデリティ」が主導した投資ラウンドで5億ドル(約535億円)を調達した。この件についてはスペースXもフィデリティも公には認めていないが、複数の情報筋が正しい情報だと認めている。

スペースXへの出資に比べると見劣りはするが、衛星関連のスタートアップも追い風を受けている。衛星関連スタートアップへの投資は総額2億5000万ドル(約267億円)以上に上り、「Astranis」がシリーズAで1350万ドル、「Spaceflight」がシリーズBで1億5000万ドルを調達している。

一方で、総額をみると投資の大半はロケットの打ち上げを行う企業に向かっており、第1四半期の総額の72%を占めた。報告書によると、衛星関連企業への平均投資額は2100万ドルだったが、打ち上げ関連企業への平均投資額は1億1700万ドルだった。

また、投資の大半を得ているのは打ち上げ関連企業だが、イグジットを果たしたのは衛星関連企業が多く、そのほとんどが買収されている。

「豊富な資金を持つイノベーションをアウトソースしたい企業らが、この分野に目をつけている」と報告書は述べている。

イグジットを果たした企業の中で最も買収額が大きかったのが、オランダの炭素繊維複合材料メーカー「Tencate Advanced Composites」で、日本の東レが11億5000万ドル(約1230億円)で全株式を取得した。同社のカーボンファイバーはスペースXのプロジェクトでも採用されている。

宇宙系スタートアップには2009年以降、累積で144億ドル(約1兆5400億円)が投資されているという。「今後は商業的な有人飛行や宇宙ゴミの監視や削減、宇宙での生産などの分野が成長をけん引していくだろう」とSpace Angelsは述べた。

編集=上田裕資

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