「グーグルでは社内でオープンな対話を推奨しているが、ステレオタイプな意見を広める行為は問題だ」とユーチューブのCEO、スーザン・ウォジスキ(Susan Wojcicki)は先月行われた「フォーブスメディア」のMoira Forbes との壇上インタビューで語った。
ウォジスキによると、テック業界の多様性を向上する上で必要な最初のステップは、経営トップによるコミットメントだという。ダモアの解雇はグーグル経営陣による差別撤廃への強い意思表示だといえる。
ウォジスキへのインタビューは、フォーブスメディアと「theBoardlist」による共催イベントである第1回「BoardForward Awards」の中で行われた。theBoardlistは、女性リーダーと企業をつなぎ、取締役会に参画する機会を提供するオンライン・マーケットプレイスだ。
「リーダーが意思表示をし、多様性の向上が重要であることを全社に伝えることが大事だ。また、その場限りの言動ではなく、一貫してこれを最優先事項として対応していく必要がある」とウォジスキは述べた。
2つ目のステップは、社員による女性やLGBT、人種をベースとしたグループの設立を奨励し、会社として支援をすることだという。
「社員たちにグループを作るリソースや能力がない場合には、彼らのニーズをくみ取り、どのような支援が可能か検討するべきだ」と彼女は話す。
3つ目のステップは、経営層からマネジャーやリクルーターに至るまで、部下の採用や昇進、異動を行う際には他の社員にどのようなメッセージを送ることになるかを考えることだという。
テック業界の女性比率は30%以下
「権限を持つ人が誰を選ぶかは大きな意味を持つ。全社員がメリットを享受できるような決断をしなければならない」と彼女は話す。
ウォジスキは、テック企業が多様性向上にもっと早く取り組んでこなかったのは、変化の激しい業界の特性に原因があると指摘する。
成長速度の速い企業は、多様性のあるチームを作ることに時間とエネルギーを費やさない傾向がある。また、彼女によると多様性の欠如は自己増幅されやすいという。マネジャーは採用において「自分から見て優秀そうな人」ばかりを採用する傾向があり、多様性が失われがちなのだという。
ウォジスキは、女性に平等な機会を提供するためだけでなく、イノベーションを創出するためにもより多くの女性がテック業界に進出することが極めて重要だと説く。彼女によると、これを実現するためには3つのことに取り組むことが必要だという。
1つ目は、教育の現場でコンピュータサイエンスを必須科目にすること。2つ目は、採用活動において求人情報が女性やマイノリティなど、より幅広い層にリーチするための努力をすること。3つ目は、社内でのハラスメント行為を積極的に調査し、問題行為を明るみに出して適切な対処をすることだ。
「テクノロジーは、我々が予期できないほど世の中を変える力を持っている。その業界において女性比率が20-30%しかないのは大きな問題だ。女性はテック業界の大きな原動力であり、より多くの女性の参画が必要だ」と彼女は述べた。