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chombosan / shutterstock.com

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究所、メディアラボは2016年、「モラル・マシーン(Moral Machine、道徳的な機械)」と名付けたゲームを公開した。ドライバーのいない自動運転車が走行中、倫理的にどのような選択をすべきか明確にするための情報収集を目的としたゲームだ。

自動運転車は乗員を犠牲にしても、規則に違反して道路を横断している歩行者を救うためにハンドルを切るべきだろうか──?自動車の運転が機械に任される社会の到来が近づくなか、人の生死に関わるこうした決断は極めて重大なものだ。

400万人が回答

MITのイヤド・ラワン教授が率いるチームが公開したゲームの中では、性別や年齢が異なる乗員・歩行者の複数の組み合わせが設定されている(道路を横断する猫や犬など、人間以外も登場する)。このゲームには昨年末までに、約400万人が参加、設定された状況下で生じる倫理的な問題への考え方を示した。

米アリゾナ州では3月18日、ライドシェア最大手ウーバー・テクノロジーズの自動運転車が歩行者をはね、初となる死亡事故を起こした。ラワン教授がドバイで開催された教育とスキルに関する国際フォーラムでゲームの結果を明らかにしたのは、その前日のことだ。

「多様な価値観」の反映は困難

ラワン教授によれば、自動運転車を巡る倫理的な問題について世界的レベルで実施されているもの中で、この調査は最大の規模となる。教授らは、自動運転車により倫理的な選択をさせるため、自動車メーカーやテクノロジー大手はこのゲームの結果をコード化する情報に反映させることができると考えている。

ただし、調査はこれまでのところ、「明確な結論」を導き出しているわけではない。研究チームによると、例えば「車にはねられるのが子供か大人か」という“単純な”選択の場合、圧倒的多数が「より若い命を守るべき」と考えていることを明確に示す結果が得られている。さらに、道路を横断する歩行者の年齢が高齢になるほど、子供を優先すべきと答える人が多くなる。

一方、「歩行者と乗員のどちらを優先して守るべきか」という選択を求められた場合には、結果は明確にどちらとも言えないものとなっている。乗員を負傷させるより車が歩行者に突っ込むことを選択した人は、約40%だった。

また、「規則に従って道路を横断していた1人が死亡」「規則に違反して道路をわたっていた2人が死亡」のうちより重視すべき状況はどちらかという点については、意見はほぼ半数ずつに分かれた。設定されるシナリオが複雑になるほど、明確な「答え」は得られなくなっている。

編集=木内涼子

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